概要
IMAXとは、カナダのIMAX社が開発した大型スクリーン上映方式、およびその規格に対応した劇場のことである。通常のスクリーンより縦に大きい画面と専用の音響設計を特徴とし、日本では追加料金を払って選ぶ「特別上映」の代表格になっている。
詳細
IMAXは単なる「大きいスクリーン」ではなく、撮影・上映・劇場設計までを含めた一つの規格である。映写機、スピーカーの配置、座席とスクリーンの距離、スクリーンの湾曲までが仕様として定められており、認定を受けた劇場だけがIMAXを名乗れる。
最大の特徴は画面の縦方向の広さにある。一般的なシネマスコープ比の上映では横長の画面になるのに対し、IMAX対応作品では画面の上下が広がり、視界の大半がスクリーンで埋まる。日本の劇場でこの方式が広まったのは2010年代以降である。この「見上げる感じ」が没入感の正体で、横幅よりも縦の情報量が体感を左右する、というのがIMAXの設計思想である。
音響も専用設計で、通常のスクリーンより低音の量が多く、体に響く方向へ振っていることが多い。アクションやSFで評価が高いのはこのためである。ホラー作品でも、低音の圧で緊張感を作る演出と相性がよいとされる。
日本での展開
日本国内では2026年半ば時点で、開館予定を含めておよそ60スクリーンがIMAXシアターとして稼働しているとされる。都市部を中心に配置されており、地方では車で1時間以上かけて観に行く、という利用のされ方も珍しくない。
鑑賞料金は通常料金に600円〜800円ほどの追加料金がかかるのが一般的で、最上位仕様にあたるIMAXレーザー/GTテクノロジー導入館は追加800円とされる。ただし料金は劇場ごとに設定が異なり、改定も行われるため、鑑賞前に各劇場の公式ページで確認するのが確実である。
なお、劇場によってスクリーンの大きさと設備の世代が違う点は注意が必要である。同じ「IMAX」という表示でも、レーザー方式とデジタル方式では画質も画面サイズも異なるため、体験の差は小さくない。
ドルビーシネマとの違い
日本で選択肢になるもうひとつの上映方式がドルビーシネマである。両者は競合するが、狙っている方向が違う。
- IMAX
- 縦に広い大画面と力のある音響。画面に包まれる感覚が強く、アクションやSF、アニメの大作と相性がよいとされる。スタジオジブリ作品や新海誠監督作のように、背景美術が見どころになる作品でも選ばれることが多い。
- ドルビーシネマ
- 高コントラストの映像(ドルビービジョン)と立体音響(ドルビーアトモス)の組み合わせ。黒の締まりと明暗の階調に強みがあり、ドラマやミステリー、音の細部が効く作品で評価されることが多い。
どちらが上という関係ではなく、作品との相性で選ぶものと説明されるのが一般的である。「派手さならIMAX、繊細さならドルビー」というのが定番の要約になっている。
作品側の対応
IMAXの効果は、作品がIMAX向けに作られているかどうかで大きく変わる。IMAX用のカメラで撮影された場面や、IMAX画角向けに調整された版がある作品では画面の上下が実際に広がるが、通常の版を拡大して上映しているだけの場合は、大画面と音響の恩恵にとどまる。
日本では鬼滅の刃をはじめとするアニメの大作や、海外のアクション大作でIMAX版が用意されることが多い。東宝をはじめとする配給会社が公開時にIMAX版の有無を告知するため、鑑賞前に確認すると無駄がない。名探偵コナンのような毎年恒例の大作でもIMAX版が組まれることがある。