BLEACH

概要[編集]

BLEACH(ブリーチ)は、久保帯人による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)で2001年から2016年まで連載された、いわゆる「ジャンプ黄金期を支えた看板作品」のひとつである。ONE PIECENARUTO -ナルト-とともに「ジャンプの三本柱」などと呼ばれ、世界中で絶大な人気を誇った……らしい。

物語は、生まれつき幽霊が見える高校生・黒崎一護が、死神・朽木ルキアと出会い、自らも死神の力を得て人間界に仇なす悪霊「虚(ホロウ)」と戦う王道バトルもの。だが本作の真骨頂は中身よりも「とにかくカッコいい」の一点に集約される。技名・セリフ・見開きの構図・キャラデザ、そのすべてが中二心を直撃する。読者が思春期に通る麻疹のような作品、それがBLEACHである。

単行本は全74巻、累計発行部数は1億2000万部を超える。アニメ版は2004年から2012年まで放送され、長らく未アニメ化だった最終章「千年血戦篇」が2022年からついに放送開始。原作完結から年月を経ての復活に、ファンは「待ってました」と沸いた。

あらすじ[編集]

空座町に住む15歳の高校生・黒崎一護は、生まれつき霊が見える体質。ある日、死神・朽木ルキアと出会い、虚に襲われた家族を守るためルキアから死神の力を譲り受ける。こうして一護は「代理死神」として虚退治の日々を送ることになる。

しかし、人間に力を渡したルキアは死神の掟を破った罪で故郷「尸魂界(ソウル・ソサエティ)」へ連行され、処刑が決定。一護は仲間とともにルキア奪還のため尸魂界へ乗り込む。この「尸魂界篇」が本作最初の山場であり、護廷十三隊の隊長たちとの死闘は今なお語り草となっている。

その後も「破面(アランカル)篇」「死神代行消失篇」、そして最終章「千年血戦篇」へと物語は続く。敵組織「滅却師(クインシー)」の王ユーハバッハとの全面戦争が描かれ、護廷十三隊の総力戦が繰り広げられる。

主な登場人物[編集]

黒崎一護:主人公。オレンジ色の髪と「死神」のような風貌が特徴。ぶっきらぼうだが仲間思い。斬月という斬魄刀を操る。

朽木ルキア:一護に力を与えた死神。袖白雪という美しい斬魄刀の使い手。後に隊長へ昇進する。

井上織姫:一護のクラスメイト。盾舜六花の力を持つ。天然でおっとりした性格。

石田雨竜:滅却師の末裔。一護のライバル的存在で、クールな委員長キャラ。

朽木白哉:ルキアの義兄で六番隊隊長。千本桜の散る戦闘美で人気。

世界観と用語[編集]

死神:尸魂界に属し、虚を浄化し魂を導く存在。各々が「斬魄刀」という固有の刀を持つ。

斬魄刀:死神の魂が具現化した刀。「始解」「卍解(ばんかい)」と二段階の解放形態を持ち、卍解は始解の5〜10倍の力を発揮するとされる。この「卍解」という響きの良さが、当時の少年たちのノートを埋め尽くした。

虚(ホロウ):心を失った魂が変じた怪物。仮面と胸の穴が特徴。

護廷十三隊:尸魂界の防衛を担う13の部隊。個性的な隊長たちが揃い、人気投票でもキャラがひしめく。

滅却師(クインシー):霊子を操り虚を「滅する」一族。死神とは対立する存在で、最終章の宿敵となる。

本作は「中二病設定の宝庫」とも言われ、技名・形態名・固有名詞のセンスが突出している。「黒棺」「千本桜景厳」「鏡花水月」など、口に出したくなる単語が大量に登場する。

作風と魅力[編集]

久保帯人の画力とデザインセンスは群を抜いており、「間(ま)」の使い方が独特。あえてセリフを排した見開き、白を活かしたコマ割り、決めゴマでの一言——この「カッコよさの演出」こそBLEACHの本質である。巻末のポエムや扉絵のオシャレさもファンの心を掴んだ。

アニメと千年血戦篇[編集]

テレビアニメは2004年から2012年まで全366話が放送。長期にわたりオリジナルエピソード(アニオリ)も多く挟まれた。原作最終章「千年血戦篇」は長らくアニメ化されていなかったが、2021年に制作決定が発表され、2022年10月から放送開始。作画・演出のクオリティが大幅に向上し、「令和の作画力で蘇ったBLEACH」として国内外で大反響を呼んだ。

炎上とバズ[編集]

  • 最終章の急ぎ足論争:原作の千年血戦篇は展開が駆け足だったとされ、「卍解を奪われた隊長たちのリベンジが描かれない」「伏線が回収されていない」といった声が長年ファンの間で議論されてきた。アニメ版では一部が補完され、賛否を呼んだ。
  • 「ユーハバッハ強すぎ問題」:ラスボスの能力「全知全能(ジ・オールマイティ)」が未来改変という反則級の力で、「どうやって勝つんだ」とSNSで盛り上がった。
  • 名言ミーム化:「お前を斬る」など決めゼリフがネット上でコラ・ミーム素材として愛され続けている。
  • アニメ復活時のトレンド席巻:2022年の千年血戦篇放送時にはX(旧Twitter)で世界トレンド入り。海外ファンの熱量が可視化された。

余談[編集]

  • タイトル「BLEACH(漂白剤)」の由来は、黒い死神装束の「黒」を「漂白する=白くする」イメージから付けられたとか。最初は主人公を白基調にする案もあったらしい。
  • 久保帯人はファッションや音楽への造詣が深く、各話タイトルや単行本の英語サブタイトルは洋楽からの引用が多い。
  • 巻頭ポエムが名物。各巻冒頭の詩的な短文は意味深で中二心をくすぐると同時に「結局どういう意味?」とツッコまれることも。
  • キャラ人気投票では井上織姫・朽木ルキア・日番谷冬獅郎・グリムジョーなどが常連。脇役にも根強いファンが多い。
  • ブリーチ部」というネットスラングがあり、厨二全開のカッコつけたセリフ回しを指して使われることがある。
  • 久保帯人は2018年に新連載『BURN THE WITCH』を開始。BLEACHと同一世界観の作品でファンを喜ばせた。
  • 実写映画版が2018年に公開。福士蒼汰が一護を演じた。

名勝負・名シーン[編集]

本作には語り継がれる名勝負が多い。尸魂界篇での一護対白哉の決戦、阬龍と一護の生死を賭けた戦い、破面篇での一護対グリムジョーの死闘など、「ライバルとの拳を交えて語り合う」熱い展開がファンの心を掴んだ。特に一護が初めて卍解「天鎖斐」を成し遂げるシーンは、ジャンプ読者の記憶に深く刻まれている。また、隊長たちがそれぞれの卍解を披露する場面は、「どれもデザインが凝っていてカッコいい」と評判で、ファンアートの題材にもなっている。

斬魄刀と卍解の魅力[編集]

本作の人気を支える最大の要素が、キャラごとに異なる斬魄刀の個性である。烎を操るもの、水を操るもの、影を操るもの、時を止めるもの——その多彩さは「自分だったらどんな斬魄刀か」と読者に姄想させる力を持つ。始解の解放には「悚え.〇〇」という口上があり、この「口上」を叫ぶ興奋感も中二心をひとしきりにした。独特のセンスに満ちたネーミングセンスは、久保帯人の面目躍如たる部分である。

読者への影響とレガシー[編集]

BLEACHは2000年代の少年漫画を代表する作品として、多くのクリエイターに影響を与えた。「オシャレでカッコいいバトル漫画」の一つの完成形として、今も同世代の読者から愛される。原作完結後もグッズ展開やコラボカフェが続々と登場し、ソーシャルゲーム『BLEACH 魂の夺う者』は世界的にヒットした。「一度は中二を謰うてBLEACHのセリフを叫んだ」世代は、今やその子どもたちと一緒に千年血戦篇を見ているとか。

隊長たちと護廷十三隊[編集]

護廷十三隊には個性的な隊長が揃い、それぞれが独立した人気を誇る。一番隊隊長で総隊長の山本元柳斎、冷静沈着な六番隊隊長・朽木白哉、天才背背した十二番隊隊長・涷原喹之丈、子供の姿だが最年少隊長の日番谷冬獅郎、やる気ゼロの京楽京八郎など、キャラが立ちすぎてファンは推し選びに困るほど。隊ごとに「隊訓」がある設定も凝っており、設定集『BLEACH OFFICIAL BOOTLEG カラブリ』はファン必携の一冊とされた。隊長たちの過去を描いた番外編も人気で、スピンオフ作品も複数展開されている。

世界での人気[編集]

BLEACHは国内だけでなく海外でも絶大な人気を誇る。特に欧米・中南米での人気が高く、「The Big Three(ワンピー・ナルト・ブリーチ)」として海外アニメファンの間で語り継がれてきた。コスプレの題材としても人気が高く、世界中のアニメイベントでBLEACHキャラのコスプレイヤーを見かける。千年血戦篇アニメはディズニープラスなどを通じて全世界に同時配信され、「令和のBLEACH」は新世代のファンも取り込んでいる。

評価[編集]

ストーリー面では「雰囲気重視で論理が粗い」という批判もある一方、「その雰囲気とデザイン力こそがBLEACHの唯一無二の魅力」という評価が主流。「理屈じゃない、ノリで読む漫画」という意味で、起承転結よりも「シーンごとのカッコよさ」を楽しむ作品として独自の地位を篩いている。

派生作品・メディア展開[編集]

BLEACHは漫画・アニメ以外にも多様なメディア展開を見せている。小説版(ノベライズ)はキャラの過去やサイドストーリーを描き、原作では語られなかった部分を補完してファンを喜ばせた。ゲームは家庭用・アーケード・スマホと多数展開され、特にスマホゲーム『BLEACH 魂の夺う者(Brave Souls)』は世界累計ダウンロード5500万を超えるヒット作となった。ミュージカル『ロック・ミュージカル BLEACH』も上演され、原作の「カッコよさ」を舞台で再現したと話題になった。

  • 千年血戦篇のアニメは「クール(季節)」ごとに分割して放送されており、じっくり丁寧に作られていると評判。
  • 主題歌には有名アーティストが多数起用され、ORANGE RANGEやユズなどの楽曲が今もカラオケ定番として愛されている。
  • 「一護の本当の年齢は?」「死神の寿命は?」など、世界観の設定をめぐる考察がファンの間で今も盛んだ。
  • カラーページの美しさも評判で、久保帯人の配色センスは「表紙を並べるだけでアート」と言われるほど。

本作は「中二病」という言葉とともに語られることが多いが、それは複雑な設定やカッコいいセリフを「真面目にやり切る」本作の姿勢への最高の賛辞でもある。読者は「あの頃は意味がわからなくてもとにかくカッコよかった」と振り返る。その「カッコよさの記憶」こそが、世代を超えて愛され続けるBLEACHの本質なのかもしれない。

  • 作中の「虚圏(ヒュエコ)」は虚が住む異空間で、呈それた時間の流れが違う設定が凝っている。
  • 原作ラストは賛否を呼んだが、アニメのエンディング補完に期待する声も多い。
  • 久保帯人はX(旧Twitter)でファンとの交流も積極的で、質問にユーモアを交えて答える姿が人気。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]