概要[編集]

青年漫画とは、少年漫画より上の年齢層、おおむね高校生以上から社会人を読者に想定した漫画の区分である。雑誌の編集方針による区分であって、読者の実年齢で線が引かれているわけではない。

詳細[編集]

成り立ち[編集]

青年漫画という枠が生まれたのは1960年代後半である。戦後に漫画を読んで育った世代が成人しても読むのをやめなかったため、少年誌の読者がそのまま年齢を重ねるという、それまで存在しなかった状況が生じた。出版社は彼ら向けの雑誌を新設することで対応し、1968年創刊の『ビッグコミック』(小学館)などが先行例となった。1979年に『週刊ヤングジャンプ』(集英社)、1980年に『週刊ヤングマガジン』(講談社)が続き、各社が少年誌と青年誌を併設する体制が固まる。

少年漫画との違い[編集]

分かりやすい差として、主人公の年齢と職業が挙げられる。少年漫画は成長途上の主人公が力や仲間を得ていく筋立てを取りやすいが、青年漫画は社会人・専門職・犯罪者・中年といった、すでに立場が定まった人物を主人公に置ける。すでに背負っているものがある人物は「これから何にでもなれる」余地を使えない代わりに、現在の立場から降りられないという制約そのものを話の駆動力にできる。

もう一つの差は、主人公が勝たなくても物語が成立することである。将棋や麻雀の勝負ものが青年誌に多いのは偶然ではなく、負けが物語を終わらせない形式だからである。麻雀漫画やMリーグをめぐる作品群がこの位置に入る。

「青年」という区分の曖昧さ[編集]

区分は雑誌側の宣言であって、読者調査の結果ではない。実際には少年漫画誌の読者に成人が多く含まれることは以前から指摘されており、逆に青年誌を中学生が読むことも珍しくない。そのため「青年漫画とは何か」を内容で定義しようとすると必ず例外が出る。作品の性質ではなく掲載誌で決まる、というのが実務上の答えに近い。

電子書籍漫画アプリの普及で、この区分はさらに見えにくくなった。書店では少年誌の棚と青年誌の棚が物理的に離れているが、アプリの中では同じ一覧に並ぶ。読者が雑誌名を意識せずに作品単位で読むようになると、区分は編集部の内部事情に近いものになっていく。

余談[編集]

  • ゴルゴ13』は1968年に『ビッグコミック』で連載が始まり、青年誌の創刊期からそのまま続いている作品として知られる。青年誌という枠が生まれた時期と、その枠を象徴する作品の開始時期がほぼ重なっている。
  • 「ヤング」を冠した誌名が1970年代末から1980年代にかけて集中しているのは、各社が同じ読者層に同時に気づいたためである。誌名の流行はそのまま市場の発見の記録になっている。
  • 青年誌ではグラビアアイドルの写真が巻頭を飾る形式が長く続いた。漫画雑誌でありながら写真集的な要素を併せ持つ構成は、青年誌に特有の商習慣である。

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