概要[編集]

漫画BANK(まんがバンク)とは、2019年12月から2021年11月まで運営されていた漫画海賊版サイトである。漫画村の閉鎖後に日本語圏で最大規模とされたサイトで、権利者側の民事手続きが進むなかで突然閉鎖された。

詳細[編集]

規模[編集]

集英社の発表によると、開設されていた2019年12月から2021年11月までの合計アクセス数は9億9,370万に達し、無断公開された作品をコミックスの販売価格に換算した額は2,082億円相当とされた。

この「被害額」は、無断で読まれた分がすべて本来の価格で売れたと仮定して計算した数字であり、算定方法そのものが論点になってきた。無断公開がなければ同じ量が売れていたとみなせるのかという点には異論があり、権利者側は市場の実害を示す指標として、批判する側は過大な見積もりとして扱う。両者が争っているのは事実関係ではなく、換算の前提のほうである。

閉鎖までの経緯[編集]

サイトは2021年11月4日に突然閉鎖された。直前に集英社が運営者を特定するための手続きを進めていると報じられており、これが一因とみられている。

手続きの経路が特徴的だった。運営者が国外にいる場合、日本の捜査や削除要請は直接には届かない。そこで集英社は、サイトが利用していた事業者が米国法人であることを手がかりに、米国の裁判所へ情報開示を申し立てる形を取った。2021年3月にCDN事業者とクラウド事業者に対する開示命令を取得し、同年10月には検索事業者と米国のISPに対しても申し立て、11月12日に開示命令が出ている。

運営者の摘発[編集]

特定された運営者は中国・重慶市の居住者だった。2022年6月15日、重慶市の文化市場執法総隊が運営者に対して行政処罰を下し、処分が確定している。刑事裁判による有罪判決ではなく行政機関による処罰という形だった点が、漫画村の事件との大きな違いである。

漫画村では日本国内に運営者がいたため、著作権法違反と組織的犯罪処罰法違反による刑事裁判が成立し、実刑判決と賠償命令まで進んだ。漫画BANKの場合、運営の実体が国外にあったため、日本の法制度だけでは手が届かず、米国の民事手続きと中国の行政手続きを組み合わせる迂回路が必要になった。国境をまたぐ無断公開に対して、どの国のどの手続きが実際に機能するのかという問いは、この事件でも完全には片付いていない。

余談[編集]

  • 集英社は摘発後の声明で、民事訴訟の提起も含めた対応を検討するとしていた。刑事手続きに乗らない場合でも、金銭的な請求という別の経路が残る。
  • 同時期に閉鎖・摘発された同種のサイトは複数あり、名称を少し変えた後継サイトが現れるという繰り返しが続いた。1つのサイトが消えても読者の行動が変わらなければ別のサイトへ移るだけだ、という指摘は海賊版対策の議論で繰り返し出てくる。
  • 正規の漫画アプリで話売りと待機型の無料公開が広がったのは、この時期と重なっている。無断公開が持っていた「すぐ読める」という利点を正規側でも満たす方向の変化だが、閉鎖と市場の拡大のどちらが先かを数字だけで切り分けることはできない。

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