ファッション

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流行から転送)

概要[編集]

ファッションとは、衣服や装いを中心に、ある時期に多くの人が共有する流行そのものを指す語である。個々の服やブランドを指す使い方と、時代ごとに移り変わる様式を指す使い方が併存しており、日本語では「服装」とほぼ同義に使われる場面も多い。

詳細[編集]

ファッションという語の核にあるのは「移り変わる」という性質である。同じ服でも、着られている時期によって新しいとも古いとも受け取られる。素材や仕立ての良し悪しとは別の軸で評価が決まるため、機能や耐久性だけでは説明できない値付けが成立する。

流行が回るには、新しい様式を提示する側と、それを広める媒体と、受け取って着る側の三者が要る。20世紀の日本ではこの三者が、ブランドとデザイナー、雑誌、そして読者という形で組み合わさっていた。パリやミラノのコレクションで発表された傾向が、半年から1年遅れて国内の店頭と誌面に降りてくるという時間差の構造が長く機能していた。

日本のファッション誌[編集]

日本のファッションは雑誌、とりわけ月刊誌と強く結びついて発展してきた。CanCamViViJJ (雑誌)Ray (雑誌)はロゴの色から赤文字系と呼ばれ、いずれも特定の読者像を細かく設定したうえで、その像に合う服を毎号提案してきた。An・anNon-noはより広い生活提案を含む誌面を作り、読者の呼称がそのまま世代の呼び名になった例もある。

雑誌が強かった時期のファッションは、誌面のページ順がそのまま流行の順位表として機能していた。どのブランドが巻頭で扱われるかが翌シーズンの売れ行きを左右し、広告出稿と編集ページの関係が業界の力学を作った。電通博報堂といった代理店が媒体を束ねる構造も、この時期に確立している。

誌面に登場する担い手も変化した。プロのモデル (職業)だけでなく、一般の読者から起用される読者モデルが誌面の顔になり、読者と誌面の距離が縮んだ。読者モデル出身のタレントが生まれる流れは、後のインフルエンサーの原型にあたる。

SNS以降の変化[編集]

SNSの普及は、流行が伝わる経路を根本から変えた。Instagramは写真を並べる形式そのものが着こなしの提示に向いており、TikTokは短い動画で着替えや変化を見せる表現を生んだ。X (SNS)では発売情報や入荷情報が即座に共有される。

この変化で失われたのは、流行が一方向に流れる時間差である。海外のコレクションの映像が発表と同時に見られるようになり、誌面が半年かけて翻訳する役割は小さくなった。かわりに、同時に複数の潮流が並走する状態が常態になった。ある層でストリート寄りの装いが流行している間に、別の層ではまったく違う様式が動いている、という並存が当たり前になっている。

インフルエンサーの台頭も同じ流れの上にある。誌面のページ数という有限の枠を奪い合う構造がなくなり、発信者の数が枠を持たないまま増えた。誰が権威を持つのかが一箇所に集中しないため、流行の中心を一つに定めること自体が難しくなっている。

海外の影響[編集]

日本のファッションは時期ごとに参照先を変えてきた。欧米のブランドを基準にした時代が長く続いた後、2010年代以降は韓国発の潮流の影響が強まった。K-POPアイドルが着ている服が即座に検索され、国内のブランドがその傾向を取り入れるという流れは、かつて欧米に対して起きていたことの反復でもある。

ナイキのようなスポーツブランドが日常着の領域に入り込んだことも、服のカテゴリの境界を曖昧にした。運動用に設計された靴が街着の中心に置かれる状況は、機能と装いの関係が固定的でないことを示している。

余談[編集]

  • ファッション誌の撮影は季節を先取りするため、真夏に冬物を着て撮影することになる。誌面の季節感と現場の気温は常にずれている。
  • 「流行遅れ」という評価が成立するのは、同じものが時間を置いて再び流行するからでもある。十数年周期で過去の様式が戻ってくる現象は繰り返し観測されており、古着が新しいものとして扱われる場面も多い。
  • コスプレは特定の作品の衣装を再現する行為だが、街着の潮流と相互に影響し合うことがあり、両者の境界は必ずしも明確ではない。
  • オンラインの購入が主流になったことで、試着せずに買う前提の設計が広がった。返品を織り込んだ販売方法は、Amazonをはじめとする通販の仕組みと不可分である。
  • 日本語の「ファッション」は服飾に限定して使われることが多いが、英語のfashionはより広く、ある時期の流行全般を指す。日本語では流行語や生活様式の流行を指して使う例は少ない。

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