| 他人は地獄だ 타인은 지옥이다 | |
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| 作家 | ヨンキ |
| ジャンル | ミステリー、ホラー |
| 配信 | ライン漫画 |
| 連載期間 | (韓国)2018. 03. 11. ~ 2019. 01. 10./2019. 08. 13. ~ 2019. 11. 21.再連載 |
| 連載周期 | (韓国)毎週木/日曜日 |
| 話数 | (韓国)全89話(日本)全88話 |
| メディアミックス | (韓国)ドラマ『他人は地獄だ』2019年/(日本)実写映画『他人は地獄だ』2024年11月15日公開 |
| その他 | |
| リンク | (日本)ライン漫画 |
概要[編集]
他人は地獄だ(たにんはじごくだ、原題:타인은 지옥이다)とは、韓国の漫画家ヨンキによるウェブトゥーン作品である。就職のために上京した青年が、家賃の安さだけで選んだ共同住宅で住人たちの奇行に追い詰められていくミステリーホラーで、韓国ではNAVERウェブトゥーンで2018年から2019年にかけて連載された。日本語版はLINEマンガで本編全88話+外伝6話が配信されており、2019年に韓国でテレビドラマ化、2024年には日本で実写映画化されている。
作者ヨンキの『関係の終末』『悪夢の形相』と世界観を共有する「ヨンキ三部作」の一作で、時系列では山奥の民宿での惨劇を描いた『関係の終末』の約1年後にあたる。発表順は本作が先で、『関係の終末』は後から描かれた前日譚である。
詳細[編集]
作風[編集]
彩色を白と黒に青系統だけを加えた配色で統一し、縦にスクロールさせる一般的なウェブトゥーンではなく、1話を数枚の絵で区切って読ませる「カットトゥーン」形式で連載された。画面を一度に見せずコマ単位で切り替える形式は、次の絵に何が写っているか分からない状態を作れるため、ホラーとは相性がよい。一方で読者からはスクロール形式への変更を望む声も出ていた。
絵柄は写実寄りでデフォルメが少なく、連載開始当時のNAVERウェブトゥーンの主流からは外れていた。それでも順位を上げたのは、内容と不気味なサムネイルの引きによるところが大きい。
連載と人気[編集]
2017年10月26日にNAVERの「挑戦漫画」枠で連載を始め、「ベスト挑戦漫画」を経て正式連載に昇格した。正式連載は2018年3月11日から2019年1月10日まで、毎週木曜・日曜の週2回更新で行われた。第10話の時点で木曜・日曜の両部門で3位に入り、その後は日曜部門2位、最終的には木曜・日曜の両部門で1位を記録した。上位の顔ぶれが固定されやすいNAVERウェブトゥーンでは異例の伸び方で、ヨンキにとって最大のヒット作となった。
2019年8月13日にはドラマ化に合わせた再連載が始まり、同年11月21日に完結した。外伝「連続殺墓事件」は、主人公が考試院に来る以前の出来事を描いたものである。2019年8月23日からはU+VRで360度見回せるVR版も配信され、原作の絵を基にした考試院の内部を3Dで再現している。
日本語版と名前のローカライズ[編集]
日本語版はLINEマンガのほか電子書店でも配信されており、世界8か国語で展開されている。2024年8月には日本国内の累計閲覧数が7,000万を突破した[1]。
日本語版では登場人物名が日本の名前に置き換えられており、韓国版の主人公ユン・ジョンウは日本語版では「ユウ」となっている。韓国ドラマ版は韓国名のまま日本でも配信されたため、同じ作品でありながら韓国名と日本名の両方が流通している状態になっており、検索時に名前が食い違って見えるのはこのためである。
あらすじ[編集]
実家で職に就かないまま暮らしていた24歳の青年は、会社を立ち上げた大学の先輩からインターンとして誘われ、25年暮らした故郷を離れて上京する。家賃の安さだけで決めた住まいはトイレと風呂が共同の古い共同住宅(韓国版では考試院)で、住人たちはいずれも挨拶すら通じない不気味な人物ばかりだった。
隣室の男の大声、部屋を開け放したまま包丁を持って歩き回る住人、勝手に部屋に入られた形跡。職場でも上司と折り合いがつかず、逃げ場のないまま精神をすり減らしていく。やがて住人の一人が姿を消し、主人公は「この建物では人が殺されているのではないか」と考え始める。
登場人物[編集]
名前は日本語版(LINEマンガ)のもので、韓国版・韓国ドラマ版では韓国名が使われる。原作では住人は基本的に部屋番号で呼ばれる。
住人[編集]
- ユウ(202号室)
:主人公。韓国版の名はユン・ジョンウ。貧しい家庭の出身で、先輩の会社のインターンに誘われて故郷を離れ、古い考試院で暮らすことになった。当初は不満を口にしなかったが、住人の奇行が続くにつれて態度が変わっていく。作中の言及によればかなりの美男という設定。韓国ドラマ版はイム・シワンが演じた。
- ハヤシハシラ(203号室)
:本作の主要な悪役で、原作では主人公に次いで比重が大きく、視点人物になる場面もある。主人公の隣室に住み、恋人と大声で通話する。表向きの社交性は住人の中で最も高く、相手に好意的に近づいて情報を引き出し、自分の情報は伏せるという形で人を心理的に扱う。韓国ドラマ版はイ・ヒョヌクが演じた。
- タンクトップ(204号室)
:肌が汚れ、鼻が極端に低く鼻孔が広いのが外見上の特徴。常にタンクトップ姿で、部屋を開けっ放しにしている。韓国の読者からは服の見た目から「ビニール袋」と呼ばれていた。
- ヤクザ(205号室)
:大柄で全身に入れ墨のある男。粗暴だが、住人の中では比較的まともに会話が成立する相手として描かれる。物語の途中で消息を絶つ。
- ジュン(205号室)
:ヤクザが消えた後に入居してくる青年。明るく人当たりがよく、主人公が唯一相談できる相手になる。
- マル(206号室)
:状況判断に長けているが、吃音があり、感情が突然爆発するなど情緒が不安定に見える。小さな目と坊主頭から、韓国の読者には「キウイ」と呼ばれていた。韓国ドラマ版はパク・ジョンファンが演じた。
- 大家のおばさん
:考試院の管理人。とぼけた物言いをするが、205号室の住人を嫌って警戒する様子を見せるなど、言動の端々が噛み合わない。韓国ドラマ版はイ・ジョンウンが演じた。
考試院の外[編集]
- 恵
:主人公の恋人。序盤で口論になって以降は物語の中心から外れる。
- カン社長
:主人公を招いた大学の先輩で、会社の代表。横柄な態度を取るが根は悪くない。
- クマオ
:カン社長の会社の社員で主人公の先輩。ぶっきらぼうで冷たい態度を取る。
- アキラ
:主人公の軍隊時代の後輩で、原作のみの登場。主人公を強く信頼しており、精神的な支えになっている。
結末(ネタバレ)[編集]
主人公が疑っていた「住人の誰かが人を殺している」という構図は、実際にはもっと単純だった。建物そのものが繰り返し殺人を行うための場所であり、住人は全員がそれに加担していて、大家も同様である。次の標的は主人公だった。
真相に気づいた主人公は住人たちに襲われ、拘束される。怪我を負いながら拘束を解いて大家を殺害し、そのままタンクトップやマルも手にかけ、最終的に建物の住人を全員殺して生還した。主人公は警察に保護され、恋人の恵と同僚のクマオは生き残るが、ジュンとアキラは助からない[1]。
タイトルの意味は、化け物に襲われた被害者が生還する話としてではなく、追い詰められた側が同じ側に渡ってしまう話として回収される。
韓国ドラマ版[編集]
2019年下半期、韓国のOCNで全10話のドラマとして放送された。主人公ユン・ジョンウ役にイム・シワン、原作にはいない歯科医ソ・ムンジョ役にイ・ドンウクがキャスティングされ、土日ドラマ枠で編成された。
実写映画版(2024年)[編集]
2024年11月15日、日本で実写映画『他人は地獄だ』が公開された。舞台は韓国の考試院ではなく「方舟」というシェアハウスに置き換えられ、登場人物にも日本語版とは別の名前が付け直されている[1]。
主人公ユウを演じたのはダンスボーカルユニット「WATWING」の八村倫太郎。大家のよし子役に青木さやか、ユウの隣人キリシマ役(原作のハヤシハシラ)に柳俊太郎、ゴロー役(同タンクトップ)に星耕介、マル役に鈴木武、山口剛役(同ヤクザ)に松角洋平、ジュン役に大倉空人、カン社長にあたるカンジ役に三浦健人、恋人メグミ役に岡田結実、同僚クボタ役に濱津隆之が配された。
その他[編集]
タイトルは、フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルの戯曲『出口なし』(『閉ざされた部屋』とも訳される)の台詞「地獄とは他人のことだ」に由来する。人は他人と関わることでしか自分の存在を確かめられず、そのために絶えず他人の視線を気にし続けなければならない——という状態を地獄に例えたものである。
残酷描写の多い作品でありながら、順位の高さと絵柄の目新しさから10代の読者が多く流入した。作中の拷問描写をめぐって19禁指定にすべきだという意見が出た際、反対の声のほうが多かったことからも、読者層の若さがうかがえる。
韓国の考試院はもともと受験生向けの簡易宿泊施設だったが、家賃の安さから低所得層の住居としても使われるようになった。本作は、その考試院のイメージを決定づけた作品のひとつとして語られることが多い。
2020年8月24日、ヨンキは次作『関係の終末』の連載を開始した。同じくカットトゥーン形式で雰囲気も近く、連載中に本作の住人と思われるシルエットが登場したことで前日譚ではないかと推測され、実際に203号室と206号室の人物が登場して裏づけられた。