概要[編集]
銀行とは、預金を受け入れ、そのお金を貸し出し、為替(送金・決済)を行う金融機関のことである。日本では銀行法に基づく免許を受けた法人だけが「銀行」を名乗れる。
詳細[編集]
銀行の業務は預金・貸出・為替の三つを基本とする。このうち預金と貸出を同時に行うことが銀行という業態の核心で、集めたお金を右から左へ渡しているのではなく、預金という形の負債を負いながら貸出という資産を持つ構造になっている。
日本の金融機関は業態ごとに数が把握されている。2024年9月末時点で都市銀行5、信託銀行3、地方銀行62、第二地方銀行37、その他の銀行15、信用金庫254、信用組合143、労働金庫13となっており、金融機関の総数は長期的に減少が続いている。
預金と貸出の関係[編集]
銀行の仕組みで理解しにくいのは、預金者が「いつでも引き出せる」お金を、銀行が「何年も返ってこない」形で貸し出しているという点である。
住宅ローンは数十年、企業への設備資金は数年単位で貸し出される。一方、預金者は明日にでも全額を引き出せる。この期間のずれが成り立つのは、預金者全員が同時に引き出すことは通常ないという前提があるためで、銀行という業態はこの前提の上に建っている。
前提が崩れたときに起きるのが取り付けである。個々の銀行の健全性とは別に、預金者が一斉に動くだけで支払いが止まりうるという性質は、銀行が他の企業と違って免許制で、かつ細かな規制と検査の対象になっている理由でもある。日本の預金保険制度が置かれているのも、経営を守るためというより、一斉に引き出す動機をあらかじめ小さくするための仕組みである。
日本の銀行の区分[編集]
都市銀行は全国規模で営業する大手を指す慣用的な呼称で、法律上の区分ではない。地方銀行は各道府県を主な営業地盤とし、第二地方銀行はかつての相互銀行が普通銀行へ転換したものが中心である。信用金庫・信用組合は会員や組合員のための協同組織で、株式会社である銀行とは根拠法も成り立ちも異なり、会社法ではなくそれぞれの根拠法に従う。
この区分が地理に沿っているのは、かつて取引先の会社と預金者がその土地にいたためである。日本国有鉄道の分割や日本電信電話の再編が地理に沿って行われたのと同じく、設備や顧客が土地に張り付いている業種では、境界を地理に合わせると実務の単位と一致する。
ただし光回線やスマートフォンで完結する取引が増えると、この前提は弱くなる。店舗を持たない銀行が成立し、地方銀行どうしの統合や持株会社による再編が続いているのは、地理で区切る根拠が先に薄れたことへの対応という面がある。
収益構造の変化[編集]
銀行の伝統的な収益は、貸出金利と預金金利の差である利ざやだった。低金利が長く続いた期間にはこの差が縮み、貸出を増やしても利益が伸びにくい状態が続いた。
そのため各行は証券取引所を通じて売買される投資信託や保険の販売手数料、決済にかかる手数料、持株会社化をはじめとする企業の再編を助ける業務といった、利ざやに依存しない収入を広げてきた。NTTドコモやKDDIが回線契約以外の事業へ傾斜したのと同じく、本業の数量が人口を超えて増えない産業に共通する動きといえる。
一方で、決済の分野ではメルカリのメルペイや楽天グループのような非銀行の事業者が参入しており、送金や支払いという銀行の基本業務の一部が別の経路に置き換わっている。
余談[編集]
「銀行」という語は幕末から明治初期にかけての翻訳語で、bankの訳として「金行」などの候補もあったが語調から「銀行」が採用されたという説が知られる。ただし確定した経緯として文献で裏づけられているわけではない。
日本銀行は「銀行」と名が付くが、預金を受け入れて個人に貸し出す銀行ではなく、通貨の発行と金融政策を担う中央銀行である。一般の銀行にとっての銀行にあたる存在で、銀行法に基づく銀行とは根拠法も役割も異なる。