概要[編集]

持株会社(もちかぶがいしゃ)とは、他の会社の株式を保有することで、その会社を支配することを目的とする会社である。日本では1997年の独占禁止法改正によって純粋持株会社が解禁され、以後、社名に「ホールディングス」を含む企業が急速に増えた。

詳細[編集]

持株会社は、自ら事業を行わず株式の保有と傘下企業の管理だけを行う「純粋持株会社」と、自社でも事業を営みながら他社の株式を持つ「事業持株会社」に分けられる。

日本では戦後、財閥解体の経緯から純粋持株会社の設立が全面的に禁じられていた。事業支配力が過度に集中し、自由競争を妨げる恐れがあるという理由である。1997年6月に独占禁止法が改正され、「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社」のみを禁止する形に改められたことで、それ以外は設立可能となった。翌1998年には金融持株会社に関する法整備も行われている。

1999年4月に上場企業として初めて大和証券グループ本社が純粋持株会社へ移行し、以後増加が続いた。2020年10月末時点で、およそ600社の上場企業が持株会社体制を採用している。

何のために会社を分けるのか[編集]

持株会社化でいちばん分かりにくいのは、同じ集団を運営するのに、なぜ会社を分けたうえで上に一社を置くのかという点である。

理由は、「事業ごとに最適な運営の単位と、資本や経営判断の単位が一致しないことがある」という一点に尽きる。

読売新聞グループ本社の例が分かりやすい。新聞の印刷と配達は地域ごとに完結する作業なので、東京・大阪・西部で会社を分けたほうが実務の単位と一致する。しかし資本や全社的な経営判断まで地域ごとに割れていては意思決定が進まない。持株会社は、この地域分割を保ったまま、資本と経営の判断だけを一つにまとめる方法である。

日本電信電話の1999年再編も同じ構造で、固定通信の設備が地理に張り付いているという物理的な条件から地域会社が必要になり、その上に持株会社が置かれた。阪急阪神ホールディングスのように、鉄道・不動産・旅行・物流という性格の違う事業を抱える企業でも、事業ごとに会社を分けるほうが判断も人事も合理的になる。

統合の道具としての持株会社[編集]

持株会社は、別々の会社を一つの集団にまとめる場面でも使われる。対等に近い形で統合したい場合、どちらかがどちらかを吸収する形にすると、社名も組織も一方に寄ってしまう。上に新しい持株会社を作り、両社をその傘下に並べる形なら、既存の会社と従業員の所属をそのまま保ったまま資本だけを一つにできる。

阪急阪神ホールディングスが2006年に阪神電気鉄道と経営統合した際にこの形を取ったのは、その一例である。金融機関の統合で持株会社方式が多用されてきたのも同じ理由による。

批判と限界[編集]

持株会社体制は万能ではない。指摘される点として、傘下会社の数が増えるほど管理部門が重複して間接費用が膨らむこと、持株会社と事業会社の役割分担が曖昧だと決定が遅くなること、上場子会社を抱える場合に親会社の方針と少数株主の利益が衝突しうることなどがある。

NTTドコモが2020年に日本電信電話の完全子会社となって上場廃止した際も、判断の経路を一本化する措置という説明と、少数株主による監視が外れることを問題視する見方の両方があった。近年は持株会社体制をいったん解消する企業も現れており、この体制が常に有利かどうかは決着していない。

よくある質問[編集]

ホールディングスと持株会社は同じですか
社名の「ホールディングス」は持株会社であることを示す表記として使われるのが一般的だが、法律上の定義語ではない。
いつから作れるようになりましたか
純粋持株会社は1997年の独占禁止法改正で解禁された。
純粋持株会社と事業持株会社の違いは何ですか
自ら事業を行わず株式保有と管理に専念するのが純粋持株会社、自社でも事業を営むのが事業持株会社である。
今も禁止されている持株会社はありますか
「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社」は引き続き禁止されている。

余談[編集]

  • 社名に「本社」を残した持株会社として読売新聞グループ本社がある。新聞業界で長く使われてきた「本社」という単位を、法人名にそのまま持ち込んだ形である。
  • 解禁から2年近く経った1999年に最初の上場企業の移行例が出ていることは、制度が変わってすぐ実務が動くわけではないことを示している。会計・税務・労務の扱いが定まるまでに時間がかかった。
  • 持株会社の役員は、傘下の事業について現場の判断をしない立場になる。事業会社の社長を長く務めた人物が持株会社へ移ると「何をする仕事なのか分かりにくい」と語られることがあるのは、この役割の性質による。

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