『ちゃお』を発行する小学館の本社ビル(東京都千代田区一ツ橋、2016年撮影。出典:Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)

概要[編集]

ちゃおとは、小学館が発行する月刊少女漫画雑誌である。1972年に『別冊少女コミック』の増刊として誕生し、1977年9月3日発売の10月号から独立した月刊誌として刊行されている。毎月3日ごろ発売。2002年下半期ごろから2023年上半期ごろまで、長く少女漫画誌の発行部数首位を保ってきた。

ピークの2003年9月〜2004年8月には1号あたり106万5,000部を発行し、「100万部を超えた少女漫画誌」として知られる。『わがまま☆フェアリー ミルモでポン!』『きらりん☆レボリューション』『極上!!めちゃモテ委員長』『12歳。』など、アニメ化された連載を数多く生み出し、小学生女子向けのキャラクター文化の中心にある雑誌である。

詳細[編集]

集英社のりぼん、講談社のなかよしと並ぶ「三大小中学生向け少女漫画誌」の一つで、対象読者は小学生が中心である。三大誌の中では最も後発(なかよしは1954年、りぼんは1955年創刊)だが、2001年に発行部数が100万部を突破してりぼんを抜き、2002年下半期ごろに首位へ立って、2023年上半期ごろまでその座を維持した。

後発の雑誌が首位を取れた理由として挙げられるのは、対象年齢の置き方である。りぼんとなかよしが小学校高学年から中学生を広く取るのに対し、ちゃおは小学生に軸足を寄せ、誌面の作りと付録をその年齢に合わせた。読者の年齢帯を狭く取ると読者が数年で入れ替わる代わりに、対象が明確になり、玩具・アニメ・キャラクター商品との連動が組みやすくなる。小学館が学年別学習誌で長く培ってきた「小学生に届ける経路」がそのまま生きる形でもあった。

創刊までの歩み[編集]

『ちゃお』の名前が最初に登場したのは1972年で、このときは『別冊少女コミック』の増刊号という位置づけだった。増刊時代を経て、1977年9月3日発売の1977年10月号から単独の月刊誌として創刊された。創刊から1980年代にかけての発行部数は公称50万部前後で推移しており、当時はりぼん・なかよしの後を追う「3番手」の雑誌だった。

1980年代には『炎のアルペンローゼ ジュディ&ランディ』(1985年アニメ化)のほか、『魔法のスターマジカルエミ』『魔法のアイドルパステルユーミ』といったアニメの漫画版を掲載し、アニメと誌面を組み合わせる路線の土台ができた。

首位までの道のり[編集]

1990年代は推定40万〜75万部の間で推移した。この時期には『ムカムカパラダイス』(1993年)、『とんでぶーりん』(1994年)、『愛天使伝説ウェディングピーチ』(1995年)、『水色時代』(1996年)、『こっちむいて!みい子』(1998年)とアニメ化作品が続き、1992年ごろからは紙の付録も強化された。

2000年には推定75万部まで伸び、2001年に100万部を突破。『Dr.リンにきいてみて!』(2001年アニメ化)、『わがまま☆フェアリー ミルモでポン!』(2002年から約3年半放送)とヒットが続き、ピークの2003年9月〜2004年8月には106万5,000部に達した。2004年には掲載作品の単行本レーベル「ちゃおコミックス」が、それまでの「フラワーコミックス」から独立して発足している。

代表的な連載作品[編集]

年代 主な作品(アニメ化年) 備考
1980年代 炎のアルペンローゼ ジュディ&ランディ(1985年) アニメの漫画版も多数掲載
1990年代前半 ムカムカパラダイス(1993年)、とんでぶーりん(1994年)、愛天使伝説ウェディングピーチ(1995年) とんでぶーりんは池田多恵子作
1990年代後半 水色時代(1996年)、こっちむいて!みい子(1998年) みい子は長寿ギャグ作品
2000年代前半 Dr.リンにきいてみて!(2001年)、わがまま☆フェアリー ミルモでポン!(2002年) ミルモは篠塚ひろむ作・約3年半放送
2000年代後半 ふしぎ星の☆ふたご姫(2005年)、きらりん☆レボリューション(2006年)、はぴはぴクローバー(2007年)、極上!!めちゃモテ委員長(2009年) きらりんは中原杏作
2010年代 ちび☆デビ!(2011年)、12歳。(2016年)、プリプリちぃちゃん!!(2017年) 付録DVDのアニメから展開した作品も

メディアミックスとの連動[編集]

ちゃおの作品はアニメ化と商品化を前提に組まれることが多い。『きらりん☆レボリューション』はアイドルを題材にアニメ・音楽・玩具が同時に動く形で展開され、『12歳。』はアニメ化と実写映画化を経ている。長寿作『こっちむいて!みい子』のように、時代を問わず読まれるギャグ作品が誌面の土台を支える形も続いている。

この作り方は月刊コロコロコミックと構造がよく似ている。どちらも小学館が小学生向けに出す雑誌で、連載・商品・アニメ・イベントが同じ時期に噛み合うよう設計され、雑誌はその全体の時刻表として機能する。読者が数年で完全に入れ替わることが前提になっている点も同じで、これは弱点であると同時に、同じ形式の企画を数年おきに繰り返せるという強みでもある。

商品展開ではタカラトミー、バンダイ、エポック社などの玩具メーカーと組み、連載作品のキャラクターを玩具・文具に広げてきた。付録DVDには『ちび☆デビ!』『12歳。』『プリプリちぃちゃん!!』などのオリジナルアニメや実写ドラマが収録され、誌面→付録映像→テレビアニメという順で人気を育てる流れも作られた。

付録・投稿・イベント[編集]

付録[編集]

『ちゃお』の大きな特徴が付録である。1992年以降、組み立て式のポーチや文具、シール、ノートといった紙の付録が強化され、さらに付録DVDも定番になった。付録DVDではオリジナルアニメや実写ドラマのほか、「ちゃおガール」と呼ばれる読者モデルがナビゲーターとして登場する。ちゃおガールは公式YouTubeの紹介動画にも出演している。

新人発掘[編集]

新人漫画家の発掘の場は、投稿コーナー「ちゃおまんがスクール」である。投稿作のうち「ちゃお銀賞」以上を受賞するとデビューが決まり、半期ごとに選ばれる「ベスト賞」からもデビューの道がある。小学生の読者がそのまま投稿者になることも多く、雑誌と読者の距離の近さを支える仕組みになっている。

イベント[編集]

2023年8月19日・20日には、ライバル誌りぼんとの合同イベント「ちゃお×りぼん ガールズコミックフェス」がパシフィコ横浜で開かれた。同じ年の2023年9月号では『りぼん』と表紙をつなげる企画も行われ、長年の競合2誌が手を組んだことが話題になった。

関連誌・レーベル・デジタル展開[編集]

  • ちゃおデラックス:隔月刊の定期増刊。
  • ちゃおコミックス:2004年発足の単行本レーベル。2021年7月からは毎月26日ごろに発売されている。
  • ちゃおプラス:2021年8月10日に始まった無料の公式ウェブコミックサイト「ちゃおコミ」が、2023年12月のリニューアルで「ちゃおプラス」になった。2024年4月には会員サービスとポイント制が導入された。編集長には元『ちゃお』編集長の藤谷小江子が就いた。
  • ちゃおチャンネル:公式YouTubeチャンネル。2025年3月時点で登録者約26万人、総再生回数は2億回を超える。

紙の雑誌に加え、アプリ・ウェブ・動画で同じ作品に触れられるようにする動きは、電子書籍や漫画アプリに読者が移っていくなかでの対応といえる。

部数の変化[編集]

少女漫画誌全体が縮小するなかでちゃおも部数を減らしており、かつて首位だった位置も現在は入れ替わりがある。背景は雑誌固有の事情というより、読む時間がゲームや動画へ移ったこと、漫画を読む場所が雑誌から単行本と電子書籍アプリへ移ったことにある。

時期 発行部数 備考
1978〜1989年 公称50万部前後 三大誌の3番手
2000年 推定75万部
2001年 100万部突破 りぼんを抜く
2003年9月〜2004年8月 106万5,000部 史上最高
2007年度 98万部
2013年度 55万部
2022年10月〜2023年9月 13万7,813部
2023年10〜12月 — 印刷証明付き部数でりぼんに抜かれ2位
2024年10〜12月 9万2,500部 10万部を下回る

ただし小学生向けの雑誌は、付録と商品連動という紙でなければ成立しにくい要素を抱えているため、成人向け雑誌ほど単純に電子へ置き換わっていない。月刊コロコロコミックが紙の雑誌として一定の部数を保っているのと同じ理由が、ちゃおにも一定程度あてはまる。

余談[編集]

  • 誌名の「ちゃお」はイタリア語の挨拶 ciao に由来するとされ、同時期の少女誌がひらがなの愛称的な名前を選んでいた流れの中にある。
  • 三大誌のうちちゃおとりぼんの版元である小学館・集英社は、同じ一ツ橋グループに属する兄弟会社である。棚の上では競合する2誌が資本の後ろでつながっているのは、日本の出版社の系列構造がそのまま雑誌の競争に現れている例といえる。
  • 付録の組み立て式ポーチやノートは、読者が自分で仕上げるため出来上がりが人によって揃わない。これは紙の雑誌の付録に特有の性質で、完成品を配る商品とは違う楽しみ方を生んでいる。
  • 2009年4月号では通販カタログが綴じ込まれるなど、雑誌そのものを商品展開の窓口にする試みも行われてきた。

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