概要
スーパーマーケットとは、客が自分で商品を選んでレジでまとめて精算するセルフサービス方式を採る、食料品を中心とした小売店である。全国スーパーマーケット協会は「セルフサービス方式を採用している総合食料品小売店で、年商1億円以上のもの」と定義している。
詳細
日本では1953年、東京・青山の紀ノ国屋が客自身が商品を選んでレジで精算する方式の店を開いたのが最初とされる。その後、郊外への出店と品目の拡大が進み、現在は全国スーパーマーケット協会の会員だけで約1万店にのぼる(2023年3月時点、正会員約305社・賛助会員約1,030社)。
業界3団体がまとめた2025年版の年次統計では、売場1平方メートル当たりの年間売上高が133.7万円(前年125.3万円)、従業員1人当たりの年間売上高が2,710万円(前年2,580万円)。客単価は平日が2,219.5円、土日祝が2,565.7円で、1人当たりの購買点数は平日9.7点、土日祝11.0点である。セルフレジの設置率は41.7%、プライベートブランド商品の売上高比率は9.9%となっている。
セルフサービスが変えたのは価格ではない
セルフサービス方式はしばしば「人件費を削って安く売るための仕組み」と説明されるが、これは結果のほうを指している。この方式が本当に変えたのは、店員の数と売上の関係である。
対面販売では、客が1人増えればその客に応対する時間が必要になる。客数が増えれば店員も増やさねばならず、売上と人件費は連動して動く。客が自分で棚から取り、最後に一括して精算する形にすると、この連動が切れる。レジの台数さえ足りていれば、売場にいる客が2倍になっても売場の人手を2倍にする必要はない。値段を下げられるのはその後の話で、仕組みが最初に動かしたのは費用と売上の比例関係のほうである。
1点229円という単価が決めている店の形
平日の客単価2,219.5円を購買点数9.7点で割ると、1点あたりおよそ229円になる。この単価帯で利益を出すには、点数と回転を上げる以外に方法がない。
店の設計はほぼすべてこの要請に向いている。入口に生鮮を置くのは、献立を先に決めさせれば付随する品が芋づる式に増えるからである。通路の順番も棚の高さも、1回の来店で何点かごに入るかという一点で評価される。高い商品を売る店の設計が「ゆっくり見てもらうこと」に向くのに対し、スーパーマーケットの設計は「短い時間で多くの品目を通過させること」に向く。同じ小売でも、百貨店とは最適解の方向がはっきり分かれている。
平日と休日で別の店になる
平日と土日祝で客単価に約350円、購買点数に1.3点の差がある。同じ店が曜日によって別の使われ方をしているということで、平日は足りなくなったものの補充、休日はまとめ買いという使い分けが数字に出ている。
チラシの内容や特売の品目を曜日で変えるのは、この差への対応である。補充で寄る客に大容量の特売を出しても点数は増えず、まとめ買いの客に少量の割引を出しても単価は上がらない。同じ店に来ている同じ客でも、来店の目的が違えば効く打ち手が変わる。
セルフレジが半分に届かない理由
セルフレジの設置率は41.7%で、半分に達していない。技術的な障壁はすでにほとんどないが、普及が頭打ちになるのは「例外」の処理に人手が要るためである。
量り売りの計量、酒類の年齢確認、値引きシールの重複、バーコードが読めない商品、会計途中での取りやめ。どれも発生頻度は低いが、起きたときには必ず人が呼ばれる。無人化で減らせるのは定型処理の人数だけで、例外に備えて置いておく人は減らせない。無人化の進み具合が業種ごとに大きく違うのは、扱う商品にどれだけ例外が混ざるかの違いによる。