古着

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概要

古着とは、一度人の手に渡った衣料品を、再び商品として流通させたもののことである。日本では販売形態や価値の付き方によって、リサイクル衣料、中古衣料、ヴィンテージなど複数の呼び方が併存している。

詳細

古着が商品として成立するには、中古品でありながら値段が付く理由が必要になる。この理由は大きく二つに分かれる。一つは「同じものが安く手に入る」という価格の理由、もう一つは「もう手に入らない」という希少性の理由である。前者では新品の価格が上限になるが、後者では新品時の価格を上回ることがある。

この二つが同じ「古着」という語で呼ばれていることが、この市場の分かりにくさの原因になっている。数百円の中古衣料と、アパレルの新品より高値が付くこともあるヴィンテージは、ZARAH&Mの新品と並べたときの価格差が状態の良し悪しで説明できないように、これは品質の差ではなく、値段の根拠そのものが違う。

日本の市場規模は、矢野経済研究所の調査によればファッションリユース市場として2023年に1兆1,500億円(前年比113.9%)、2024年は1兆2,800億円(同111.3%)に達する見込みとされた。ファッション関連の分野では数少ない拡大が続く領域であり、ファストファッションの国内売上が縮んだ時期と重なっている。

拡大の背景

市場が伸びた要因としてよく挙げられるのは環境意識だが、数字の動き方を見ると、それだけでは説明が足りない。

より直接的なのは売り手が増えたことである。メルカリをはじめとするフリマアプリが普及するまで、個人が衣類を売るには店へ持ち込むしかなく、買取価格は店の提示に従うほかなかった。出品が数十秒で終わる仕組みが広まると、店を介さずに個人から個人へ渡る経路が開く。

ここで効いたのは、アパレルで整理した「供給点数が倍に増えた」という前提である。ファストファッションの普及で世の中に出回る衣類の枚数が増えれば、着られなくなる枚数も同じだけ増える。売る手段がなかった時代には処分されていた分が、売る手段ができた途端に商品として市場に現れた。古着市場の拡大は、新品市場の点数増加が時間差で表に出たものでもある。

古着屋という業態

店舗としての古着屋は、品揃えを自分で決められないという点で新品の小売と決定的に違う。同じ商品を追加で仕入れることができず、売れたら終わりである。

この制約は弱点であると同時に、来店の理由そのものになる。前回と同じ棚しかない店には用事がなければ寄る理由がないが、毎回中身が違う店は、通うこと自体が目的になりうる。しまむらの仕入れ型が単発入荷で「見つけたら買う」という行動を作っているのと同じ構造が、古着屋ではより強い形で働いている。

店主の選別がそのまま品揃えになるため、無印良品のように様式で選別する店とは逆に、店主個人の目がそのまま品揃えになるため、店の個性が新品の小売より前面に出やすいのもこの業態の性質である。

日本の古着文化

日本で古着が若者の選択肢として定着したのは1990年代である。原宿の裏通りに小規模な店が集まった時期と重なり(ユニクロ原宿店の開店もこの時期にあたる)、アメリカ製の古いジーンズやスウェットに高値が付く現象が起きた。

この時期の特徴は、古着が「安いから買うもの」ではなく「新品では手に入らないから買うもの」として語られたことである。大量生産された衣類が広く行き渡った後に、かえって工業製品の古いものに価値が見出されたという順番になっている。

現在ではTikTokInstagramで古着の着こなしが共有され、ZOZOTOWNの二次流通サービスなども含め、購入前に検索して相場を確かめる行動が一般化した。値段の付き方が個々の店の判断から、取引履歴という共通の目安へ移ったことになる。

余談

日本から輸出される中古衣料は、東南アジアやアフリカ諸国へ大量に渡っている。国内で回収された衣類のうち再販に回る割合、輸出される割合、燃料などに再利用される割合、そのまま廃棄される割合はいずれも公表統計が限られており、全体像の把握が難しい分野とされる。

「古着」「中古衣料」「リユース衣料」は指す範囲がそれぞれ微妙に違い、調査によって市場規模の数字が大きく食い違うのはこのためである。

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