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株式のもう一つの性質は、他人に譲り渡せることである。出資したお金は会社から返してもらえないが、持分そのものを別の人に売ることはできる。 | 株式のもう一つの性質は、他人に譲り渡せることである。出資したお金は会社から返してもらえないが、持分そのものを別の人に売ることはできる。 | ||
この仕組みがあるおかげで、'''会社は資金を返さずに済み、出資者は資金を回収できる'''という一見両立しない状態が成り立つ。株式市場の役割は、この譲渡を安全かつ迅速に行える場所を用意することにある。[[証券取引所]]に[[上場]] | この仕組みがあるおかげで、'''会社は資金を返さずに済み、出資者は資金を回収できる'''という一見両立しない状態が成り立つ。株式市場の役割は、この譲渡を安全かつ迅速に行える場所を用意することにある。[[証券取引所]]に[[上場]]するとは、その場所を広く一般に開くことを意味する。日本では[[東京証券取引所]]がその中心にあたる。 | ||
ただし全ての株式会社の株が自由に売買できるわけではない。非公開会社では、株式の譲渡に会社の承認を要する定めを置くのが一般的である。誰が株主になるかを会社側が選べる状態にしておくためで、日本の中小企業の大半はこの形を取っている。 | ただし全ての株式会社の株が自由に売買できるわけではない。非公開会社では、株式の譲渡に会社の承認を要する定めを置くのが一般的である。誰が株主になるかを会社側が選べる状態にしておくためで、日本の中小企業の大半はこの形を取っている。[[会社法]]上、[[株式会社]]であることと株式が自由に売買できることは別の話である。 | ||
=== 値段がつくことの副作用 === | === 値段がつくことの副作用 === | ||
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== 余談 == | == 余談 == | ||
* かつて株式には額面という概念があり、日本では50円額面が広く使われていた。2001年の商法改正で額面株式は廃止されたが、[[日経平均株価]]の算出では現在も「みなし額面50円」に換算する処理が残っている。制度が消えても計算の継続性のために形式が残る例である。 | * かつて株式には額面という概念があり、日本では50円額面が広く使われていた。2001年の商法改正で額面株式は廃止されたが、[[日経平均株価]]の算出では現在も「みなし額面50円」に換算する処理が残っている。制度が消えても計算の継続性のために形式が残る例である。 | ||
* 株主優待は日本に特徴的な制度で、海外では一般的ではない。配当が現金であるのに対し、優待は自社の商品やサービスであることが多く、小売業では[[イオン (企業)|イオン]]のように株主数を100万人規模へ押し上げる要因にもなっている。 | * 株主優待は日本に特徴的な制度で、海外では一般的ではない。配当が現金であるのに対し、優待は自社の商品やサービスであることが多く、小売業では[[イオン (企業)|イオン]]のように株主数を100万人規模へ押し上げる要因にもなっている。[[百貨店]]や[[スーパーマーケット]]を運営する企業の多くが同様の制度を設けている。 | ||
* 「株」と「株式」はほぼ同義で使われるが、法令用語としては「株式」が正式である。「株を買う」という言い方が定着しているのは、売買の対象という側面が日常では前に出やすいからだろう。 | * 「株」と「株式」はほぼ同義で使われるが、法令用語としては「株式」が正式である。「株を買う」という言い方が定着しているのは、売買の対象という側面が日常では前に出やすいからだろう。 | ||
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2026年9月23日 (水) 23:25時点における最新版
概要[編集]
株式とは、株式会社に出資した人がその見返りに受け取る、会社の持分を表す権利である。出資者は株主と呼ばれ、配当を受け取る権利と会社の意思決定に加わる権利を持つ。日本では会社法がその内容を定めている。
詳細[編集]
借金との決定的な違い[編集]
会社が外からお金を集める方法は大きく二つある。銀行などから借りるか、出資を受けるかである。この二つの違いは金利の有無ではなく、返済義務があるかどうかにある。
借入は期限が来れば返さなければならない。返せなければ事業がどれほど有望でも行き詰まる。これに対し出資は返さなくてよい。その代わり、会社の一部そのものを永久に渡す。
この一点が、株式会社という形が世界中に広まった理由である。返済期限がないということは、回収までに何十年かかる事業にも資金を集められるということを意味する。鉄道、造船、製薬、資源開発といった、初期に巨額を投じて長く回収する種類の事業は、借入だけでは成立しにくい。株式は、時間のかかる事業を可能にする仕組みとして機能してきた。
株主の権利は二種類ある[編集]
「株を持つ」と一語で言われるものは、実は性質の違う二つの権利の束である。
一つは自益権と呼ばれるもので、剰余金の配当を受ける権利、会社が解散したときに残った財産の分配を受ける権利など、株主個人が経済的な利益を受け取る権利を指す。もう一つは共益権で、株主総会での議決権が代表例である。こちらは会社全体の意思決定に関わる権利で、行使した結果は全株主に及ぶ。
普通株式ではこの二つが一体になっているが、会社法は両者を分けた種類株式も認めている。配当を優先的に受け取れるかわりに議決権のない株式、逆に議決権だけを強めた株式などである。経済的な取り分と支配の取り分は、切り離して設計できるというのが制度の前提になっている。
1株1票という原則[編集]
株主総会の議決は1人1票ではなく、原則として1株につき1票で数える。株を多く持つ者ほど強い発言力を持つ。
これは不公平を放置した設計ではなく、損失を負担する割合に応じて決定権を配るという考え方の表現である。会社が失敗したとき、出資額の大きい株主ほど大きく損をする。負担が重い者に重い決定権を与えるという原則で、人数で数える民主制とは別の論理で動いている。
一方で、この原則には例外も置かれている。議決権の3%以上を持つ株主は株主総会の招集を請求でき、1%以上なら議案の提出ができるといったように、少数株主の権利は持株比率の段階ごとに定められている。多数決に委ねきらない安全装置である。
譲渡できるということ[編集]
株式のもう一つの性質は、他人に譲り渡せることである。出資したお金は会社から返してもらえないが、持分そのものを別の人に売ることはできる。
この仕組みがあるおかげで、会社は資金を返さずに済み、出資者は資金を回収できるという一見両立しない状態が成り立つ。株式市場の役割は、この譲渡を安全かつ迅速に行える場所を用意することにある。証券取引所に上場するとは、その場所を広く一般に開くことを意味する。日本では東京証券取引所がその中心にあたる。
ただし全ての株式会社の株が自由に売買できるわけではない。非公開会社では、株式の譲渡に会社の承認を要する定めを置くのが一般的である。誰が株主になるかを会社側が選べる状態にしておくためで、日本の中小企業の大半はこの形を取っている。会社法上、株式会社であることと株式が自由に売買できることは別の話である。
値段がつくことの副作用[編集]
上場した株式は、会社の一部であると同時に、値段のついた商品でもある。この二面性が、株式をめぐる話をややこしくしている。
会社の中身が変わらなくても、需給だけで株価は動く。日経平均株価やTOPIXのような指数が作られ、それに連動する運用資金が一定の規模を持つと、指数に採用されるかどうか自体が売買を生む。本来は会社を測る道具だったものが、測られる対象を動かす側へ回る。2026年から段階的に進むTOPIXの見直しが、業績ではなく売買のされやすさを基準にしているのも、この事情と無関係ではない。
余談[編集]
- かつて株式には額面という概念があり、日本では50円額面が広く使われていた。2001年の商法改正で額面株式は廃止されたが、日経平均株価の算出では現在も「みなし額面50円」に換算する処理が残っている。制度が消えても計算の継続性のために形式が残る例である。
- 株主優待は日本に特徴的な制度で、海外では一般的ではない。配当が現金であるのに対し、優待は自社の商品やサービスであることが多く、小売業ではイオンのように株主数を100万人規模へ押し上げる要因にもなっている。百貨店やスーパーマーケットを運営する企業の多くが同様の制度を設けている。
- 「株」と「株式」はほぼ同義で使われるが、法令用語としては「株式」が正式である。「株を買う」という言い方が定着しているのは、売買の対象という側面が日常では前に出やすいからだろう。