概要[編集]
岐阜県とは、日本・本州のほぼ中央に位置する内陸県である。県庁所在地は岐阜市。面積は全国7位で、人口は約197万人。県内は北の飛騨と南の美濃という性格の異なる2地域に分かれており、この南北差が県の特徴になっている。
詳細[編集]
富山・石川・福井・滋賀・三重県・愛知県・長野県の7県に接し、海には面さない。全国に8つある内陸県のひとつである。
県土の約8割が森林で、可住地は南部の濃尾平野側に集中している。北部の飛騨は3000メートル級の山が連なる山岳地帯で、県面積の約4割を占めながら人口は少ない。南部の美濃は木曾川・長良川・揖斐川という3本の大河が形成した平野で、県の人口と産業のほとんどがここにある。
飛騨と美濃[編集]
県内が2つに分かれているという説明は形式的なものではなく、気候の区分がそのまま違う。飛騨は日本海側気候で豪雪地帯にあたり、気象庁は寒候期に限って「岐阜県山間部」という予報区分を使う。美濃は太平洋側気候で冬に晴天が続く。
つまり同じ県の中に、日本海側の雪国と太平洋側の乾いた冬が同居している。この結果、飛騨の生活圏は富山・石川方面と結びつきやすく、美濃は愛知県の名古屋圏に組み込まれている。県として東海地方に区分されるのは美濃側の実態に基づくもので、飛騨をそこに含めるのは実感と合わないとしばしば指摘される。→東海地方
律令制の飛騨国と美濃国が明治の府県統合で1つの県になった経緯がこの構造を作った。県庁が美濃側の岐阜市にあることもあって、飛騨側の中心である高山が独自の行政・経済の拠点として機能している。
産業[編集]
南部の美濃側は愛知県の自動車産業と結びついた部品製造が厚い。加えて次のような地場産業がある。
- 刃物 — 関市は鎌倉期以来の刀鍛冶の系譜を持ち、現在は包丁・ハサミ・カミソリの生産地として国内最大規模。刀剣の技術が日用品の刃物に転じた例である。
- 陶磁器 — 多治見・土岐・瑞浪を中心とする美濃焼は、国内の食器用陶磁器の生産で最大のシェアを持つ。良質の陶土が採れる地質が前提にある。
- 和紙 — 美濃和紙は薄く均質な紙として知られ、文化財の修復用紙としても使われる。
- アパレル — 岐阜市の繊維問屋街は戦後の既製服流通の拠点として発展した。
飛騨側は林業と観光が中心で、木工家具(飛騨の家具)は曲げ木の技術を軸に発展した。
観光[編集]
白川郷の合掌造り集落は、豪雪に対応した急勾配の屋根を持つ民家群で、1995年に世界遺産に登録された。高山の古い町並みは近世の町人地の構成が残る区域として保存されており、飛騨の観光の中心になっている。
温泉は下呂温泉が代表格で、南部には長良川の鵜飼がある。鵜飼は宮内庁の式部職として鵜匠が務める形が続いており、観光行事でありながら国の職制に組み込まれている点が珍しい。
海外の反応[編集]
白川郷と高山は、英語圏・中国語圏の旅行情報で「伝統的な日本の田舎」の代表例として扱われ、京都・東京都・大阪の間に組み込む立ち寄り地として定番化した。とくに冬季のライトアップされた合掌造りの画像がSNSで広まり、来訪者が集中する時期が生まれた。
一方で、白川郷は現在も住民が生活している集落であり、私有地への立ち入りや撮影をめぐって受け入れ側が案内表示や入場管理を整えてきた経緯がある。観光による収入と生活環境の維持のどちらを優先させるかについては見方が分かれており、結論は出ていない。
よくある質問[編集]
Q. 岐阜県は東海地方?中部地方? 中部地方に含まれ、東海地方にも入る。ただし東海の定義では「岐阜県南部のみ」とされることがあり、飛騨は日本海側気候のため除かれる場合がある。
Q. 飛騨と美濃はどう違う? 飛騨は北部の山岳地帯で日本海側気候の豪雪地帯、美濃は南部の平野で太平洋側気候。生活圏も別で、飛騨は北陸方面、美濃は名古屋方面と結びつく。
Q. 岐阜県は海に面している? 面していない。全国8つの内陸県のひとつである。
Q. 関の刃物はなぜ有名? 鎌倉期以来の刀鍛冶の集積があり、その鍛造技術が近代以降に包丁・ハサミ・カミソリへ転用された。現在は国内最大の刃物産地である。
余談[編集]
- 「岐阜」という地名は織田信長が命名したとされる。それ以前は井ノ口と呼ばれていたという伝承がある。
- 県内には日本の人口重心が置かれていた時期があり、「日本のまんなか」を掲げる自治体が複数ある。
- 海に面さないのに寿司や川魚料理の食文化が厚く、飛騨では塩漬けの鯖を運び込む「鯖街道」型の流通が食文化を作った。
外部リンク[編集]
- 岐阜県公式サイト