概要[編集]
連続テレビ小説とは、NHKが平日朝に放送している連続ドラマの枠である。通称「朝ドラ」。1961年放送開始の『娘と私』を第1作とし、半年ごとに作品を入れ替えながら60年以上続いている。
詳細[編集]
第1作は1961年4月開始の『娘と私』で、NHK総合の月曜から金曜、朝8時40分からの20分間という編成だった。現在よく知られる15分枠になったのは翌年の第2作『あしたの風』からで、月曜から土曜の8時15分から15分間に変更された。
放送期間の区切りにも変遷がある。第15作『水色の時』(1975年前期)から半年放送に変わり、4月から9月までの前期をNHK東京が、10月から翌年3月までの後期をNHK大阪が交代で制作する体制が定着した。
半年ごとに作り替える枠という形[編集]
この枠の最大の特徴は、毎日15分・半年間という単位で作品が完結し、そのたびに主演も物語も総入れ替えになることである。
この形が長く維持できたのは、1作ごとの失敗が枠そのものを壊さないためである。通常の連続ドラマは一話ごとに脚本・美術・出演者を揃えるため費用が大きく、初回が振るわないと最終回まで立て直せない。一方、朝ドラは枠として固定されているので、ある作品の評判が振るわなくても、半年後には別の作品で仕切り直せる。視聴率が下がっても枠は残り、次の作品に持ち越される資産は「朝のその時間はこれを見る」という視聴習慣のほうである。
つまりこの枠が売っているのは個々の作品ではなく、時間帯そのものである。バラエティ番組がセットと出演者を使い回して制作費を抑え、企画を差し替えながら枠を維持するのと、目的は同じで手段が違う。
東京と大阪が交互に作る意味[編集]
1975年以降、前期を東京、後期を大阪が担当する体制が続いている。
半年交代という形は、二つの制作体制を同時に生かし続けるための仕組みでもある。一方の局だけが作り続ければ、もう一方の制作能力は使われないまま衰える。交互にすれば、どちらの局にも継続的に大型ドラマを作る機会が回り、人材と技術が両方に蓄積される。放送局が東京に集中していった過程(キー局を参照)の中で、大阪に制作機能が残り続けた理由のひとつがここにある。大阪府発のバラエティに別系統が途切れなかったのと同じ構造が、ドラマの側にも存在している。
制作局による傾向の違いは視聴者の間でもよく語られる。1996年の第54作『ひまわり』から2015年の第93作『あさが来た』までの40作を平均視聴率で比較した集計では、東京13勝・大阪7勝で東京が優位だった一方、この40作で最も高かったのは大阪制作の『ふたりっ子』(29.0%)である。平均の勝敗と最高値がねじれるのは、上位が偏っているのではなく分布の形が違うということで、「どちらが面白いか」の議論に数字で決着をつけるのは難しい。
俳優にとっての朝ドラ[編集]
主演は半年にわたり毎日放送されるため、この枠の主演を務めることは俳優の経歴において特別な位置を占めるとされる。
理由は演技の難度ではなく露出の形にある。週一回の連続ドラマは見逃すと途切れるが、毎朝同じ時間に流れる番組は生活の一部として接触が積み上がる。半年間ほぼ毎日顔を合わせる相手として認識されることは、他の出演形態では代替しにくい。安田美沙子が出演した『カーネーション』のように、主演でなくともこの枠に出た経歴が繰り返し言及されるのは、この接触の厚みによる。
一方で、その認識の強さは役柄の印象を固定しやすいという面も持つ。これはバラエティ番組出身者が俳優として再評価されるまで時間がかかるのと同じで、演技力の問題ではなく視聴者側の認識が先に固まることによる。
よくある質問[編集]
「朝ドラ」との違いは[編集]
同じものである。「連続テレビ小説」が正式な枠名で、「朝ドラ」は通称。
第1作は何か[編集]
1961年4月開始の『娘と私』である。放送は月曜から金曜の朝8時40分から20分間で、現在の15分枠とは長さも曜日も異なる。
なぜ半年で終わるのか[編集]
第15作『水色の時』(1975年前期)以降、半年ごとに作品を入れ替える体制が定着した。半年で区切ることで、前期を東京、後期を大阪が交代で制作する形が成立している。
15分なのはなぜか[編集]
第1作は20分だったが、第2作『あしたの風』から15分に変更された。朝の時間帯に毎日置く枠として、生活時間に収まる長さが選ばれた結果と考えられる。
余談[編集]
「連続テレビ小説」という枠名に「小説」の語が入っているのは、第1作『娘と私』が小説を原作としていたことに由来する。枠の名前は第1作の性質をそのまま記録しており、以後の作品がオリジナル脚本であっても名前だけは60年以上変わっていない。社名がその会社の設立時点の事業を記録し続けるのと同じ現象である。
毎日15分という単位は、スマートフォンで短い動画を見る習慣が一般化するはるか以前から存在していた。一回分を短くして毎日続けるという形は、動画配信サービスで一気に見る視聴が広がった現在でもこの枠が維持されている理由の一部でもあるが、TVerなどの見逃し配信が普及した結果、「朝8時に見る番組」という前提自体は以前より緩んでいる。枠の強さの源だった時間帯の固定は、現在では絶対の条件ではなくなりつつある。