概要[編集]
日経平均株価(にっけいへいきんかぶか)とは、日本経済新聞社が算出・公表している日本の代表的な株価指数である。東京証券取引所のプライム市場に上場する銘柄から選ばれた225銘柄の株価を平均する方式で算出される。日経225とも呼ばれる。
詳細[編集]
算出が始まったのは1950年9月7日で、数値は1949年5月16日まで遡って計算されている。5秒間隔で算出され、構成銘柄の定期的な見直しは年2回、4月初めと10月初めに行われる。株価をそのまま足すと額面の違いで比べられなくなるため、みなし額面50円に換算したうえで合計し、除数で割る。除数は2026年9月時点で29.83110217である。
1989年12月29日の終値38,915円87銭がバブル期の最高値として長く記録に残り、この水準を上回ったのは34年後の2024年2月22日だった。同年3月4日には史上初めて4万円台に乗せている。
株価平均型であることの帰結[編集]
日経平均は、構成銘柄の株価を足して割る「株価平均型」の指数である。会社の規模ではなく、1株の値段の大きさがそのまま指数への影響力になる。
この性質は見落とされやすい。発行済株式数が少なく1株の値段が高い銘柄(値がさ株)は、時価総額では中位でも、指数を動かす力は上位の企業より大きくなる。ファーストリテイリングやソフトバンクグループが指数への寄与度の高い銘柄として繰り返し名前を挙げられるのはこのためである。したがって「日経平均が上がった」は「日本企業全体の業績が良くなった」とは別の出来事である。数銘柄の値動きだけで指数が数百円動くことは珍しくない。同じ市場を対象にしながらTOPIXが時価総額加重で算出されているのは、この偏りを持たない見方を別に用意するためで、両者が同じ日に逆方向に動くことがあるのもここから生じる。
除数という仕掛け[編集]
構成銘柄が入れ替わったり、株式分割が行われたりすると、単純に平均を取り直した値は前日と連続しなくなる。会社の中身は何も変わっていないのに指数だけが跳ねてしまう。これを避けるため、計算の分母である除数を調整し、入れ替え前後で値が一致するようにしてある。
除数が225でも50でもなく29.83という半端な値になっているのは、70年以上にわたる調整がすべてこの一つの数字に積み上がっているからである。指数が長期にわたって連続して見えるのは自然な性質ではなく、連続するように作り直され続けた結果である。過去の指数を現在と比べるとき、この操作が入っていることは押さえておく必要がある。
34年かけて戻ったものは同じものか[編集]
1989年の最高値を2024年に更新したことは「34年ぶりの回復」として報じられた。ただしこの間、構成銘柄は繰り返し入れ替えられている。年2回の見直しに加え、上場廃止や合併があればその都度の差し替えが入る。株式会社としての形が変われば指数から外れることもあり、銀行の統合が相次いだ時期には構成銘柄の入れ替えもまとまって起きた。
指数というのは会社の集まりではなく「選び方の規則」である。規則が同じである限り、中身が全部入れ替わっても同じ名前で続く。1989年の38,915円と2024年の38,915円は、同じ規則で測った値ではあるが、測られている対象は同じではない。長期の株価チャートを見るときに生じやすい誤読はここにある。
観測することが対象を動かす[編集]
構成銘柄の入れ替えが発表されると、新たに採用される銘柄は買われ、外れる銘柄は売られやすい。指数に連動する運用が一定規模で存在する以上、指数に入るかどうかが需給そのものを動かすからである。
指数は本来、市場を観測するための道具として作られている。ところが観測結果に連動する商品が大量に作られると、観測されていること自体が対象の動きを作る側に回る。入れ替え前後に売買が集中するのはその現れで、指数の設計を変えにくい理由のひとつでもある。