山寺宏一

概要[編集]

山寺宏一(やまでら こういち)は、日本の声優・ナレーター・俳優・タレント。宮城県塩竈市出身。「七色の声を持つ男」「アニメ・吹き替え界のオールラウンダー」と称され、一人で何役でもこなす圧倒的な演技力と声の引き出しの多さで知られる、日本声優界の生ける伝説的存在らしい。

ディズニー作品のドナルドダックやアラジンのジーニー、エディ・マーフィやジム・キャリーなど海外スターの吹き替え、『おはスタ』初代お兄さん「山寺キャプテン」、『それいけ!アンパンマン』のめいけんチーズ&かまめしどん、『新世紀エヴァンゲリオン』の加持リョウジ、『らき☆すた』『鷹の爪』など、ジャンルを問わず代表作が多すぎて全部は挙げきれないことで有名。愛称は「やまちゃん」。声優という職業の社会的地位を押し上げた立役者の一人としても語られる。

来歴[編集]

1961年、宮城県塩竈市に生まれる。学生時代からものまねや声真似を得意とし、声優を志して上京。1985年ごろに声優・俳優としてのキャリアを本格的にスタートさせた。下積み時代から「声の引き出しの多さ」で頭角を現し、アニメ・吹き替え・ナレーションと活動領域を急速に広げていった。

1990年代には海外映画・ドラマの吹き替えで売れっ子となり、ディズニー作品やハリウッドスターの専属級の吹き替えを多数担当。同時にアニメでも数々の人気キャラを演じ、朝の子ども番組『おはスタ』の初代司会「山寺キャプテン」として茶の間にも顔と声を売り込んだ。以降、声優の枠を超えたマルチタレントとして、テレビ・舞台・歌・ナレーションのあらゆる場面で活躍を続けている。

演技の特徴[編集]

山寺の代名詞は、何といっても「七色の声」と称される圧倒的な声の幅である。重厚な低音から軽妙な三枚目、コミカルな動物声、女性的な裏声まで自在に操り、一人で何役でも演じ分けてしまう。同じ作品内で複数のキャラクターを掛け持ちし、自分同士が会話しているケースも珍しくない。

吹き替えにおいては、エディ・マーフィやジム・キャリーといった「喋りで魅せる」コメディ俳優の早口・テンションを完璧に乗せる技術に定評がある。アニメではシリアスからギャグまで対応し、ナレーションでは聞き取りやすく品のある語りを聞かせる。どんなジャンルでも一定以上の水準を軽々と超えてくる「オールラウンダー」ぶりこそ、山寺宏一が長年第一線に立ち続ける最大の理由といえる。

主な出演作(アニメ)[編集]

代表作は枚挙にいとまがない。『新世紀エヴァンゲリオン』の加持リョウジは、飄々としながら影のある大人の男を好演し人気を博した。『それいけ!アンパンマン』ではめいけんチーズやかまめしどんなど複数キャラを担当し、子どもたちにおなじみの声となっている。

ほかにも『らき☆すた』の白石(兼ナレーション的役回り)、『ふしぎの海のナディア』のキング、『鷹の爪』のレオナルド博士&吉田くんほか全キャラ(をほぼ一人で)など、作品ごとに強烈な印象を残してきた。ギャグアニメでは複数役の早替わりで真価を発揮し、シリアス作品では渋く落ち着いた芝居で物語を支える。出演本数・キャラクター数ともに、日本の声優の中でも屈指の規模を誇る。

吹き替え・ナレーション[編集]

山寺の名を世に知らしめたのが、海外作品の吹き替えである。ディズニー『アラジン』のジーニーは、本国のロビン・ウィリアムズの怒涛のアドリブ芸を見事に日本語に移し替えた名演として語り継がれ、吹き替え版の金字塔とされる。ドナルドダックの声も長年担当し、ディズニーを代表する日本語ボイスとなっている。

実写では、エディ・マーフィやジム・キャリー、ウィル・スミスといった「喋りで魅せる」スターの吹き替えを数多く務め、早口でハイテンションな芝居を日本語で完璧に再現した。加えてバラエティ番組やドキュメンタリー、CMのナレーションも膨大にこなしており、視聴者は気づかぬうちに毎日のように山寺ボイスを耳にしているといっても過言ではない。

タレント・司会・歌手活動[編集]

山寺は声優の枠にとどまらず、テレビタレント・司会者としても長年活躍してきた。代表的なのが朝の子ども番組『おはスタ』で、初代司会「山寺キャプテン」として小学生世代に絶大な知名度を得た。番組での軽妙なトークと体を張ったパフォーマンスは、世代を超えて記憶に残っている人が多い。

歌唱力も高く、キャラクターソングやイベントでの歌唱、ものまね歌唱などでもその実力を発揮する。バラエティ番組ではものまねの達人としても知られ、一人で複数の声や芸を即興で繰り出して場をさらっていく。声優・俳優・タレント・歌手・ナレーターと、肩書きが一つでは収まらないマルチな活躍ぶりが、山寺宏一という人物の最大の特徴である。

人物・エピソード[編集]

愛称は「やまちゃん」。子どもから大人まで世代を問わず親しまれており、声優でありながらお茶の間レベルの知名度を持つ稀有な存在である。大の野球好き・地元愛が強く、東北・宮城に関する話題になるとテンションが上がることで知られる。

後輩声優からの尊敬は厚く、「目標とする声優」として名前を挙げられる定番の人物。声の技術はもちろん、長年第一線を走り続ける姿勢や、ジャンルを問わず仕事を引き受ける幅広さが、後進にとって大きな指標となっている。私生活の結婚・再婚はそのつど大きく報じられ、世間の注目を集めた。明るく気さくな人柄と、いざ仕事になれば底知れぬ実力を見せるプロフェッショナルぶりのギャップも、長年愛され続ける理由といえるだろう。

評価・影響[編集]

山寺宏一は、「七色の声を持つ男」というフレーズとともに、日本の声優の代表格として広く認知されている。彼の存在は、声優という職業が「裏方」から「表に立つエンターテイナー」へと地位を高めていく過程を象徴している。アニメ・吹き替え・ナレーション・司会・歌と、声を使うあらゆる仕事を最高水準でこなす姿は、後続の声優たちに「声優はここまで活躍できる」という道筋を示した。

特に吹き替え分野では、海外スターの個性を日本語で完璧に再現する技術が評価され、「この俳優ならこの声」という定番を数多く築いた。子ども番組からハリウッド大作まで、幅広い世代・層に届く声を持つ点で、これほど国民的な知名度を獲得した声優は稀である。まさに「声の総合芸術家」と呼ぶにふさわしい人物だ。

後進への影響と現在[編集]

ベテランとなった現在も、山寺の現場での需要はまったく衰えていない。長年にわたり蓄積された技術と引き出しの多さは、若手では到底まねのできない領域にあり、難役・特殊な役ほど「やっぱり山寺さんに」と白羽の矢が立つことも多い。

後進の指導や声優界全体の地位向上にも意識的で、声優を志す若者にとって憧れの存在であり続けている。バラエティやイベントで一人何役の即興芸を披露するたびに、新しい世代のファンが「この人は何者だ」と驚かされる。デビューから数十年を経てなお、声優・タレント・吹き替え俳優として複数のジャンルの最前線に立ち続ける山寺宏一は、日本のエンターテインメント界における唯一無二の財産といえるだろう。

代表的な吹き替えキャラクター[編集]

山寺が長年担当してきた吹き替え役の中でも特に有名なのが、ディズニー『アラジン』のジーニーである。コミカルで自由奔放、矢継ぎ早に繰り出されるギャグとパロディを、原語のテンポを損なわず日本語に落とし込んだ職人芸は、吹き替えの歴史に残る名演とされる。

ドナルドダックの声も長く務めており、特徴的なガアガア声を再現できる数少ない声優として、ディズニー作品に欠かせない存在となっている。実写では、表情と喋りで笑わせるタイプのコメディスターとの相性が抜群で、彼らの作品が日本で親しまれる一翼を担った。こうした「キャラクターの個性を声で立たせる」技術の積み重ねが、山寺宏一という吹き替え俳優の評価を不動のものにしている。

ナレーターとしての顔[編集]

アニメや吹き替えと並んで、山寺の重要な仕事がナレーションである。情報番組、ドキュメンタリー、バラエティ、CMなど活動範囲は極めて広く、聞き取りやすく信頼感のある語り口は番組の質を一段引き上げると評される。

威厳のある重厚なナレーションから、コミカルで軽妙な実況風の語りまで、番組の色に合わせて自在に声色を変えられるのも強みだ。視聴者の多くは「ナレーションの声が山寺宏一だ」と意識せずに毎日のように耳にしており、それだけ自然に作品へ溶け込む技術を持っているということでもある。表に立つタレント業と、黒子に徹するナレーション業の両方で一流であり続ける点に、山寺の懐の深さが表れている。

舞台・俳優としての活動[編集]

山寺宏一は声優・吹き替えだけでなく、俳優として舞台に立つこともある。表現者としての基礎を大切にし、生の演技にも積極的に取り組んできた。声だけで多彩な人物を演じ分ける技術は、こうした俳優としての経験にも支えられている。テレビのバラエティから舞台まで、ジャンルを越えて表現の場を広げ続ける姿勢は、若手時代から一貫しており、彼を単なる「声の人」にとどめない総合的なエンターテイナーたらしめている。

炎上とバズ[編集]

  • ジーニーの神吹き替え - 『アラジン』のジーニーは、本国のロビン・ウィリアムズに勝るとも劣らない名演として語り継がれ、吹き替え版の代名詞的存在となっている。
  • 一人何役のバケモノ芸 - バラエティやイベントで複数キャラを一人で即興で演じ分ける芸は鉄板で、披露するたびにSNSで「人間じゃない」「声の宝石箱」と話題になる。
  • 結婚と再婚 - 私生活の結婚・再婚はそのつど大きなニュースとなり、ワイドショーやネットで広く報じられた。お祝いムードとともにトレンド入りすることもしばしば。
  • おはスタ卒業 - 長年務めた朝の子ども番組『おはスタ』の卒業時には、世代を超えて「山寺キャプテンありがとう」の声が溢れ、惜しまれた。

余談[編集]

  • 「七色の声」と評されるが、本人いわく実際にはもっと多彩で、低音から裏声、動物の鳴き声まで何でも出せるとか。
  • モノマネのレパートリーも豊富で、バラエティ番組でたびたび披露しては場をさらっていく。
  • アンパンマンでは複数キャラを掛け持ちしており、同じ作品内で自分同士が会話していることもあるらしい。
  • 大の野球好き・地元愛が強く、東北・宮城に関する話題ではテンションが上がることで知られる。
  • 後輩声優からの尊敬が厚く、「目標とする声優」として名前を挙げられる定番の人物。
  • ナレーションの仕事も膨大で、気づかぬうちにテレビの随所で山寺ボイスを聞いているという声も多い。
  • 「やまちゃん」の愛称で世代を超えて親しまれ、子どもから大人まで知っている数少ない声優の一人。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • 山寺宏一 公式サイト
  • アクロスエンタテインメント(所属事務所)