劇場版モノノ怪 第三章

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劇場版モノノ怪 第三章 蛇神
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三部作を通じて主題歌を担当したアイナ・ジ・エンド(2019年撮影・出典:Wikimedia Commons/CC BY-SA 2.0)
監督 中村健治(総監督)、越田知明(監督)
脚本 新八角
原作 TVアニメ『モノノ怪』(2007年)
出演 神谷浩史、種﨑敦美、入野自由、津田健次郎 ほか
音楽 岩崎琢
ジャンル 時代劇・怪異譚・ミステリー(アニメーション映画)
制作会社 スタジオカフカ、EOTA
配給 ツインエンジン
劇場公開 2026年5月29日
言語 日本語
前作 劇場版モノノ怪 第二章 火鼠(2025年)



概要[編集]

劇場版モノノ怪 第三章(げきじょうばんモノノけ だいさんしょう)、正式題名『劇場版モノノ怪 第三章 蛇神』(へびがみ)は、2026年5月29日に公開された日本の劇場アニメ映画。2007年にフジテレビの深夜アニメ枠で放送されたTVアニメ「モノノ怪」を原点とする劇場版三部作の最終章で、『劇場版モノノ怪 唐傘』(2024年)、『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』(2025年)に続く完結編にあたる。

主人公は、人の情念や怨念が取り憑いて生まれる怪異「モノノ怪」を斬る謎の男「薬売り」。三部作はいずれも江戸時代の大奥を舞台にしており、第三章では大奥成立から150年間隠されてきた"最大の秘密"と、シリーズ最恐とうたわれるモノノ怪「蛇神」との対決が描かれる。総監督はTVシリーズから一貫して作品を手がける中村健治、監督は越田知明、脚本は新八角、薬売りの声は神谷浩史。主題歌は第一章・第二章に続いてアイナ・ジ・エンドが担当した。

詳細[編集]

2006〜2007年にテレビ放送されたアニメ「モノノ怪」を元にした劇場版三部作の完結作品。謎の旅人「薬売り」が主人公で、人間の情念や怨念が憑依したモノノ怪による怪異を鎮める物語を描く。独特の浮世絵風アートスタイルと、緻密に構築された和製ホラーの世界観が高い評価を受けており、劇場版三部作は第一章からファンの間で大きな話題を呼んでいた。

シリーズの成り立ち[編集]

「モノノ怪」の出発点は、2006年にフジテレビの深夜アニメ枠で放送されたオムニバス作品『怪〜ayakashi〜』の一編「化猫」である。この「化猫」で初登場した薬売りを主人公に据えて、2007年7月〜9月に全12話の独立シリーズ「モノノ怪」が放送された。和紙のようなテクスチャーを重ねた画面、極彩色の色づかい、歌舞伎や浮世絵を思わせる大胆な構図は当時から異彩を放ち、放送終了後も国内外でカルト的な人気を保ってきた。

それから十数年を経て始動したのが劇場版三部作の企画である。第一章『唐傘』の制作ではクラウドファンディングが実施され、目標の1,000万円を大きく上回る約6,000万円が集まった。長年のファンが劇場版の実現を後押しした形で、三部作は2024年から2026年にかけて、ほぼ1年に1本のペースで公開された。

薬売りの声優交代[編集]

TVシリーズで薬売りを演じたのは櫻井孝宏だったが、劇場版の制作中だった2023年3月、「作品性の観点からの決断」として櫻井の降板が発表された。後任には神谷浩史が起用され、劇場版三部作の薬売りはすべて神谷が演じている。長年親しまれた声の交代はファンの間でも大きな話題となったが、神谷は謎めいた語り口を引き継ぎつつ、自身の色を加えた薬売り像をつくり上げた。

三部作の舞台「大奥」[編集]

劇場版三部作は、将軍家の世継ぎを生み育てる女性たちの世界・大奥を共通の舞台としている。第一章『唐傘』では、大奥に新たに奉公に上がったアサとカメの二人を軸に、女たちの情念が呼び寄せたモノノ怪「唐傘」が描かれた。第二章『火鼠』では、世継ぎをめぐる家柄同士の謀略を背景に、人を燃やすモノノ怪「火鼠」が大奥に現れる。

三部作を通じて登場する人物も多く、アサ(黒沢ともよ)、時田フキ(日笠陽子)、大友ボタン(戸松遥)、時田三郎丸(梶裕貴)、坂下(細見大輔)らが物語をつないでいる。第一章では、カメ役を悠木碧、北川役を花澤香菜、歌山役を小山茉美が演じたほか、天子役の入野自由、溝呂木北斗役の津田健次郎も登場し、二人は第三章でも同じ役を演じている。

第三章の物語[編集]

大奥は、御台所・幸子が待望の男子を出産したことで沸き立つ。しかし周囲の期待と祈りは届かず、生まれた子は亡くなってしまう。幸子の深い絶望をきっかけに大奥では異変が相次ぎ、やがて巨大な蛇の姿をしたモノノ怪「蛇神」が姿を現す。

薬売りがモノノ怪を斬るには、その「形(かたち)」「真(まこと)」「理(ことわり)」の三つを明らかにしなければならない。蛇神の「真」と「理」を探るうちに、薬売りは大奥がつくられた150年前にまでさかのぼる秘密に行き当たる。第三章では薬売りの新たな退魔の道具として「鏡」が登場し、ティザービジュアルでは傷を負い血を流す薬売りの姿が描かれた。クライマックスには、ファンを驚かせる展開が用意されていたことも報じられている。

スタッフの変遷[編集]

三部作は、作品ごとに監督・脚本・制作スタジオの体制が少しずつ変わっている。第一章『唐傘』は中村健治が監督を務め、脚本は山本幸治と中村健治、制作はツインエンジン傘下のEOTA。第二章『火鼠』では中村が総監督に回り、監督に鈴木清崇、脚本に新八角を迎え、制作はくるせるとEOTAが担った。第三章では総監督・中村健治のもと、監督を越田知明、脚本を新八角が務め、制作はスタジオカフカとEOTA。キャラクターデザインの永田狐子と音楽の岩崎琢は三部作を通じて続投しており、作品ごとに体制が変わっても統一感のある画面と音が保たれている。

劇場版三部作の位置づけ[編集]

作品 公開日 登場するモノノ怪 内容
劇場版モノノ怪 唐傘 2024年7月26日 唐傘 三部作の序章。大奥に奉公に上がったアサとカメの物語
劇場版モノノ怪 第二章 火鼠 2025年3月14日 火鼠 世継ぎをめぐる家柄同士の謀略
劇場版モノノ怪 第三章 蛇神 2026年5月29日 蛇神 三部作の完結。大奥150年の秘密

スタッフ[編集]

  • 総監督:中村健治
  • 監督:越田知明
  • 脚本:新八角
  • キャラクターデザイン:永田狐子
  • 音楽:岩崎琢
  • アニメーション制作:スタジオカフカ、EOTA
  • 配給:ツインエンジン

キャスト[編集]

主題歌[編集]

元BiSHのアイナ・ジ・エンドは、第一章・第二章に続いて三部作すべての主題歌を担当した。第二章の主題歌は「花無双」。所属レーベルはエイベックス系列のavex traxである。

作品の特徴[編集]

独自のビジュアルスタイル[編集]

モノノ怪シリーズは、浮世絵・日本画の技法を取り入れた極めて独自性の高いビジュアルスタイルで知られている。通常のアニメとは一線を画す色彩感覚と構図は、映像作品としての芸術性が高く評価されており、海外のアニメファンからも「日本アニメの中でもっとも実験的で美しい作品の一つ」と称されることがある。

和製ホラーの世界観[編集]

江戸時代を舞台に、日本の伝統的な妖怪観・霊魂観に基づいた怪異を描く。単なるホラーではなく、人間の業・執念・悲しみが生み出すドラマが中心にあり、恐怖よりも「もののあわれ」に近い感情を呼び起こす作風が特徴。劇場版三部作では、大奥という閉ざされた女性たちの世界を舞台にしたことで、嫉妬・出世・世継ぎをめぐる重圧といった情念がよりはっきりと描かれている。

神谷浩史の演技[編集]

薬売り役を演じる神谷浩史の謎めいた語り口と独特の演技スタイルは、作品の雰囲気を作る上で不可欠な要素となっており、多くのファンから高く評価されている。

公開と反響[編集]

第三章の公開日と題名『蛇神』は2025年12月10日に発表され、同時にティザービジュアルと第1弾予告が公開された。公開日の2026年5月29日(金)には関連ワードがXのトレンド入りし、公開初週末の興行ランキングでは6位に初登場(翌週は9位)。電撃オンラインの報道によれば、公開から3日間の成績は第一章・第二章の同期間を上回るペースだったという。

劇場版三部作の完結編として、モノノ怪ファンから大きな注目を集めた。「三部作をすべて映画館で見届けたい」というコアファンの需要が高く、公開前から各地の映画館での上映スケジュールが話題になった。また、「大人が楽しめる深いアニメ映画」として口コミが広がり、アニメファン以外の映画ファン層にも波及したとされる。

海外での評価も高く、第一章『唐傘』はカナダのファンタジア国際映画祭で今敏賞を受賞し、第二章『火鼠』も同映画祭で受賞して2作連続の受賞となった。第一章はNetflixでも配信され、TVシリーズを知らない海外の視聴者がシリーズに触れる入口にもなった。

余談[編集]

  • 第二章『火鼠』の公開を記念して、2025年3月7日から第一章『唐傘』が全国で特別上映された。三部作を続けて見てもらうための企画だった。
  • 第三章の予告では、蛇神が「シリーズ最恐のモノノ怪」として打ち出された。シリーズを通して「形・真・理」をそろえて斬るという基本は変わらないが、新たに「鏡」という道具が加わっている。
  • 三部作の企画プロデューサーを務めた山本幸治は、第三章公開直後の2026年6月5日、自身のXでプロデューサー職からの引退を表明したと報じられている。山本は第一章『唐傘』の脚本にも名を連ねていた。
  • 第一章のクラウドファンディングで約6,000万円が集まったことは、放送から十数年を経てもシリーズのファンが根強く残っていることを示す出来事として話題になった。
  • 第一章『唐傘』に出演した天子役の入野自由と溝呂木北斗役の津田健次郎は、第三章でも同じ役で出演し、三部作をつなぐ役どころを担っている。
  • 薬売りの声優交代を経ても、キャラクターデザイン(永田狐子)と音楽(岩崎琢)は三部作を通じて変わらず、声優以外の面ではシリーズの空気感が守られている。

関連項目[編集]

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