ペルソナ5

概要[編集]

ペルソナ5(ペルソナファイブ、Persona 5)は、アトラスが開発・発売した日本のロールプレイングゲーム(RPG)。人気シリーズ『ペルソナ』の第5作目にあたり、2016年に発売された。「心の怪盗団」となった高校生たちが、人々の歪んだ欲望を象徴する異世界に潜入し、悪人の「改心」を促すという物語を描く。

スタイリッシュな赤と黒を基調としたデザイン、洗練されたUI、ジャズを取り入れた音楽など、圧倒的なオシャレさで世界中のプレイヤーを魅了した。学園生活のシミュレーション要素と、ダンジョン探索・バトルのRPG要素を融合させた独自のゲーム性で、シリーズ最大のヒット作となった。

その人気はゲームの枠を超え、アニメ化、舞台化、スピンオフ作品の展開、さらには音楽ライブの開催など多方面に広がった。完全版『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』も発売され、世界的な評価を確立している。発売から年数を経ても色あせない人気を誇る作品である。

ストーリー[編集]

主人公は、とある事件の濡れ衣を着せられ、保護観察処分となった高校生。東京の高校に転入してきた彼は、不本意な「前科者」のレッテルを貼られ、周囲から白い目で見られる日々を送る。理不尽に居場所を奪われた主人公の境遇は、物語の出発点として強い印象を残す。

ある日、彼は「異世界(パレス)」と、人の歪んだ欲望が具現化した世界に迷い込み、「ペルソナ」という心の力に目覚める。同じく社会の理不尽に苦しむ仲間たちと出会った主人公は、「心の怪盗団」を結成。悪人の心に巣食う「歪んだ欲望(オタカラ)」を盗み出し、彼らを改心させる活動を始める。腐敗した大人たちと戦いながら、彼らは社会の闇に隠された巨大な真実へと迫っていく。やがてその戦いは、一個人の悪事を超えた、社会そのものの歪みとの対決へと発展していく。

ゲームシステム[編集]

『ペルソナ5』は、「学園生活」と「ダンジョン探索」という二つの要素で構成されている。昼間は普通の高校生として、勉強・部活・アルバイト・友人との交流などを楽しみ、夜や休日には怪盗団として異世界に潜入する。

時間(日付)の概念があり、限られた時間の中で何をするかを選ぶ点が特徴。学業と怪盗活動、交友関係をどう両立させるかという「時間管理」がゲームの戦略の一部になっている。仲間や周囲の人々との絆を深める「コープ(コミュ)」システムにより、人間関係が戦闘にも影響を与える。バトルは伝統的なコマンド式RPGで、敵の弱点を突いて連続行動する爽快感や、捕らえた敵を「交渉」で仲間にしたり、ペルソナを合体させて新たな力を生み出す要素など、戦略性と中毒性を兼ね備えている。

心の怪盗団[編集]

本作の主役となるのが、主人公たちが結成する「心の怪盗団」である。表向きは普通の高校生でありながら、裏では人々の歪んだ欲望を盗み出し、悪人を改心させる義賊として活動する。怪盗団のメンバーは、それぞれが社会の理不尽や個人的な苦しみを抱えており、その「反逆の意志」がペルソナの力の源となっている。

メンバーには、主人公(コードネーム:ジョーカー)のほか、熱血漢の坂本竜司(スカル)、心優しい高巻杏(パンサー)、不思議な猫型の存在モルガナ(モナ)、芸術家肌の喜多川祐介(フォックス)、頭脳明晰な新島真(クイーン)、明るい佐倉双葉(ナビ)、お嬢様の奥村春(ノワール)などがいる。それぞれに固有のペルソナと能力があり、個性的なキャラクターたちが力を合わせて巨悪に立ち向かう群像劇が、本作の大きな魅力となっている。彼らの抱える事情や成長が丁寧に描かれることで、プレイヤーは怪盗団に深い愛着を抱くことになる。

ペルソナとは[編集]

シリーズの根幹をなす「ペルソナ」とは、登場人物が内に秘めた「もう一人の自分」が具現化した力である。これは心理学者ユングの概念に由来し、人が社会に向けてかぶる「仮面」を意味する。

『ペルソナ5』では、主人公たちが理不尽な現実に対して「反逆」の意志を固めたとき、仮面を引きはがすようにペルソナが覚醒する。各キャラクターのペルソナは、義賊や反逆者など、歴史・神話・文学上の人物がモチーフになっている。主人公の初期ペルソナ「アルセーヌ」は、フランスの怪盗紳士アルセーヌ・ルパンに由来する。この「反抗の象徴」としてのペルソナが、社会の理不尽と戦う本作のテーマを体現している。

音楽とデザイン[編集]

『ペルソナ5』を語るうえで欠かせないのが、その音楽とビジュアルデザインの完成度の高さである。作曲を手がけた目黒将司による楽曲は、ジャズ、アシッドジャズ、ファンクを取り入れたスタイリッシュなサウンドで、ゲームの洗練された世界観を見事に演出している。戦闘曲「Last Surprise」をはじめ、多くの楽曲がファンに愛されている。

ビジュアル面でも、赤と黒を基調とした大胆かつ統一感のあるデザインが際立つ。メニュー画面、戦闘時のUI、キャラクターの登場演出など、あらゆる場面に「かっこよさ」が貫かれており、その徹底ぶりは「UIデザインの教科書」とまで称された。プレイヤーが操作するたびに目を楽しませるこだわりは、ゲームの没入感を大きく高めている。音楽・グラフィック・演出が三位一体となって生み出す圧倒的なスタイリッシュさは、本作を唯一無二の存在にしている。

完全版『ザ・ロイヤル』[編集]

2019年には、追加要素を盛り込んだ完全版『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』が発売された。新たな仲間や新エピソード、新ダンジョンが追加され、物語にさらなる深みが加えられた。オリジナル版をプレイした人にとっても新鮮な体験となる充実した内容で、高い評価を獲得した。

『ザ・ロイヤル』はその後、さまざまなゲーム機やプラットフォームに移植され、より多くのプレイヤーが楽しめるようになった。海外でも改めて大きな反響を呼び、各種ゲームアワードで再評価された。完全版の成功により、『ペルソナ5』は名実ともにシリーズを代表する金字塔としての地位を不動のものにした。 『ペルソナ5』は、「スタイリッシュなRPGの金字塔」として国内外で絶賛された。とりわけ赤と黒を基調とした圧倒的にオシャレなデザインセンスは高く評価され、メニュー画面の一つひとつまで凝りに凝った演出が話題となった。

ストーリー面では、「社会の理不尽に立ち向かう若者たち」という普遍的なテーマが幅広い共感を呼んだ。世界各国のゲームアワードで多数の賞を受賞し、日本のRPGの底力を世界に示した。とりわけ欧米での評価が高く、JRPG復権の象徴的存在となった。発売から年月を経てもなお「人生で一番好きなゲーム」に挙げるファンが後を絶たない。完全版『ザ・ロイヤル』は新キャラクター・新エピソードを追加し、さらに高い評価を獲得している。「JRPGはもう古い」という見方を覆し、世界市場で日本産RPGの魅力を再認識させた功績は大きい。

炎上とバズ[編集]

  • メニュー画面やUIの「オシャレすぎる」デザインがSNSで絶賛され、「UIの教科書」とまで言われた。
  • 楽曲がジャズ・アシッドジャズを取り入れた名曲ぞろいで、サウンドトラックも高い人気を誇る。作業用BGMとして聴くファンも多いという。
  • キャラクターの人気が非常に高く、ファンアートやコスプレが世界中で活発に投稿されている。
  • 格闘ゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』に主人公「ジョーカー」が参戦した際は、世界中のファンが熱狂した。

余談[編集]

  • 開発・販売元のアトラスは、『女神転生』シリーズなどでも知られる、独特の世界観を持つゲームメーカーである。
  • 主人公はゲーム中で名前を自由に設定できるが、アニメや関連作品では「雨宮蓮(あまみや れん)」という名前が使われている。
  • 通称コードネーム「ジョーカー」で呼ばれる主人公は、相棒の猫型キャラクター「モルガナ」とともに人気が高い。モルガナの「コーヒーの淹れ方」など生活感のある描写もファンに愛されている。
  • シリーズは『ペルソナ3』『ペルソナ4』も名作として知られ、それぞれリメイクや派生作品が展開されている。
  • 『ペルソナ5』の世界観を活かしたスピンオフ(ダンスゲーム、アクションRPGなど)も発売されている。本編後を描く『ペルソナ5 スクランブル』も好評だった。
  • テレビアニメ版も制作され、ゲームをプレイしていない層にも物語が届けられた。
  • 「ジョーカー」の華麗な身のこなしとマスク姿は、シリーズ屈指の人気を誇るビジュアルとなっている。
  • 海外人気も極めて高く、「JRPGの代表作」として世界中のゲーマーに愛されている。日本のRPGの存在感を世界に示した一作とされる。
  • 「心の怪盗団」の予告状を送ってから欲望を盗むという演出が、義賊もののロマンを掻き立てると人気。
  • 怪盗としての活動と、平凡な高校生としての日常という二面性が、プレイヤーに「二重生活」の楽しさを味わわせる。
  • キャラクターのコープ(絆)を深めるとストーリーが掘り下げられ、何周も遊べるやり込み要素となっている。
  • シリーズ恒例の「ベルベットルーム」やペルソナ合体システムも健在で、コレクション要素も充実している。

テーマ[編集]

『ペルソナ5』の根底に流れるのは「反逆」と「自由」というテーマである。社会の理不尽、大人の腐敗、自分を抑圧するもの——そうした「見えない鎖」に対して、若者たちが「ノー」を突きつける物語だ。怪盗団のメンバーは皆、それぞれの形で社会から不当に扱われた経験を持ち、その怒りや悔しさを力に変えて立ち上がる。

「本当の自分を取り戻し、理不尽に立ち向かう」というメッセージは、現実社会で生きづらさを感じる若者の心に強く響いた。ペルソナ(仮面)を引きはがして覚醒するという演出そのものが、「世間体や抑圧を脱ぎ捨て、本来の自分として生きる」という本作のテーマを象徴している。単なる勧善懲悪ではなく、登場人物一人ひとりの内面の成長を丁寧に描いた点が、本作を深みのある物語にしている。

シリーズの中での位置づけ[編集]

『ペルソナ』シリーズは、もともとアトラスの『女神転生』から派生した作品群である。『ペルソナ3』『ペルソナ4』で確立された「学園生活+ダンジョン探索+仲間との絆」というスタイルを、『ペルソナ5』はさらに洗練させ、商業的にも批評的にも過去最大の成功を収めた。

シリーズはそれぞれ独立した物語と主人公を持つため、『ペルソナ5』から入っても楽しめるのが特徴である。本作のヒットによってシリーズ全体の知名度が飛躍的に高まり、過去作のリメイクや新作への期待も大きく膨らんだ。日本国内にとどまらず、世界中のRPGファンに「ペルソナ」というブランドを浸透させた立役者として、本作の意義は非常に大きい。

外部リンク[編集]

  • 『ペルソナ5』公式サイト(アトラス)
  • ペルソナシリーズ ポータルサイト