概要[編集]
特定の条件が満たされると未知の世界へ移動することを意味する。 特異な点は、瞬間移動のように突然姿を消すのではなく、広い面積を持つ固い物質を媒介として移動するということである。 つまり、『ハリー・ポッター』シリーズの9と4分の3番線ホームを通り抜けるように、床や壁などが突き抜けられる現象である。
2019年以降からは「バックルーム」によってより広まった。
語源と機能[編集]
「clip」という語は、ポリゴンやスプライトがオブジェクトに「当たる」(clipping)ことを指すプログラミング用語に由来する。 したがって、noclipとは「衝突判定の無効化」を意味する技術的スラングである。
noclipを有効化すると以下のことが可能になる。
- キャラクターが壁や床、天井をすり抜ける
- 落下ダメージや物理法則を受けないケースが多い
- カメラをプレイヤー本体から切り離して自由飛行できるケースもある
- 屋外ステージの「スカイボックス」に進入できる
主な使用目的[編集]
- デバッグ
- ゲーム開発者やマップデザイナーは、ノークリップで全体マップを俯瞰し、衝突判定や配置漏れを確認する。
- チート
- プレイヤーが使用すると、通常は行けない領域を探索したり難易度を下げる行為になる。
- 検証
- バグハンターやYouTuberは、隠し要素や開発中に削除された部分を探索する際に利用する。
- オカルト的利用
- 一部のネットミーム、特にThe Backroomsにおいて、「現実世界からノークリップして落下する」という怪談的解釈が流行した。
歴史[編集]
- 1990年代前半: DOOMをはじめとするFPS黎明期タイトルでコマンドとして広まる。
- 1998年以降: Half-LifeやSource Engineベースのタイトルで「noclip」という単語がそのままコマンド名として用いられ、広範に浸透。
- 2000年代: ニコニコ動画やYouTubeで「マップの裏に行ってみた」遊びが人気化。
- 2019年: いわゆるBackrooms creepypastaが4chanに投稿され、「現実からノークリップする」というパロディ的解釈が世界的な拡散を生んだ。
ネット文化との関係[編集]
noclipは単なるゲームコマンドを超えて、インターネット上の都市伝説・ミームに強く結びついている。 特に「バグによって現実をすり抜ける」という発想は、多くのファンアートや短編映像、ホラージャンル創作に影響を与えた。
バックルームズとの接点[編集]
- 2019年に流布したBackroomsの怪談において、人は現実において偶然ノークリップしてしまい、"終わりなき黄色い部屋"に迷い込むとされる。
- VRChatやGarry’s Modなど、ノークリップ機能のあるゲーム上で再現されることも多い。
YouTube / 配信文化[編集]
- speedrun(最速クリア)では、ノークリップ的バグ利用が「壁抜けショートカット」として不可欠。
- 逆に「ノークリップ禁止」カテゴリーも設けられ、公正性を区別するためのルールとなる。
類似機能[編集]
- fly コマンド – 一部ゲームで空中移動だけを可能にする。
- ghost – Unreal Engineで使われる同義コマンド。
- clip – noclipの対義コマンド。衝突判定を元に戻す。
余談[編集]
- DOOMの初期コマンド「IDSPISPOPD」は「Smashing Pumpkins Into Small Piles Of Putrid Debris(カボチャを腐臭漂う小さな山に砕く)」の略というジョーク仕様であった。
- 一部のゲーマーは「ノークリップ旅行」という遊び方を実践し、景色の裏側や未使用マップを観光する動画を投稿している。
- バグで偶然ノークリップしてしまう場合、多くは「落下して果てしない虚無に落ち続ける」挙動となる。この現象はゲーム実況でネタにされやすい。
- 日本の掲示板などで「人生もノークリップしたい」などと自虐的比喩が頻出する。
- Minecraftでは、F3+Nキーなどを経由して「スペクテイターモード」に入ると壁抜け移動が可能であり、これを「ノークリップ」と呼ぶユーザーも多い。
- VRChatでは公式機能ではないが、modツールによるノークリップを利用して「空間芸」を披露するユーザーも存在する。
- ホラーゲームPhasmophobiaのコミュニティでは、ゴーストが壁をすり抜ける挙動を指して「ゴーストは常にノークリップON」と冗談めかして語られる。
- Counter-Strikeシリーズでnoclipを解除し忘れて試合に参加すると、不正行為とみなされVAC BAN(アカウント停止)の対象になるため注意が必要だった。
- 日本の高校文化祭で「この教室だけnoclipできたら帰りに迷わないのに」と落書きされた事例がSNSで話題になった。
- 「noclip」という名称を持つ有名ゲームジャーナリスト系YouTubeチャンネルNoclipも存在し、ドキュメンタリー型のゲーム紹介で知られる。