概要[編集]
テンペスト(TEMPEST)とは、電子機器や通信機器が発する微弱な電磁波(漏洩電磁波)を傍受し、内部情報を不正に読み取る諜報・スパイ技術である。 その名前は英語で「大嵐」「暴風雨」を意味し、NSA(アメリカ国家安全保障局)がコードネームとして用いたとも言われる。 1970年代の東西冷戦期に特に注目され、軍や政府の機密情報盗聴技術として活用された。 近年ではパソコンやスマートフォン、テレワーク環境の普及により、この技術による情報漏洩リスクが再び注目されている。NHKニュース
歴史[編集]
- 1962年、日本の米軍暗号センターの周囲に不審なアンテナが確認され、通信機器の電磁波を傍受する行為が発覚。
- 1972年の論文により技術名「テンペスト」が公表され、こうした電磁波を盗聴・解析する方法が明らかにされた。
- 1980年代から90年代にかけて、日本の防衛庁(当時)では、米軍からテンペスト対策の指導があり、市ヶ谷庁舎の建設時に対策が盛り込まれた。NHKニュース
メカニズム[編集]
テンペストでは電子機器の動作に伴い発生する微弱な電磁波が、外部に漏れ出す現象を利用する。 こうした電磁波はビデオ信号、キーボードの入力情報、通信信号など多岐にわたり解析され、通信内容や画面表示の復元が可能とされる。 解析には高度な機器と解析技術が必要であるが、技術の進歩によりリスクは増大している。漏洩電磁波 - Wikipedia
用語[編集]
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| 漏洩電磁波 (TEMPEST) | 電子機器から漏れ出る微弱な電磁波で、信号の復元に利用される。 |
| 情報漏洩 | 電磁波解析によって内部情報が不正に傍受・復元されること。 |
| 対策技術 | 電磁波シールド、ノイズ発生装置、電磁波抑制回路などの技術や規格。 |
社会的影響と現代的問題[編集]
- 東西冷戦時代は軍事・国家レベルの情報戦技術として認識されていたが、現代ではPC、スマホ、IoT機器など一般機器にもリスクが拡大。
- コロナ禍でのテレワーク普及により、家庭環境でのテンペストリスクが高まったと指摘されている。
- 内部情報保護のため、多くの国でテンペスト対策基準や製品規格が整備されているが、その実効性には限界があるとの専門家の見解もある。NHKニュース
代表的な事件・伝説[編集]
- 1990年代、日本の防衛庁(六本木庁舎)で米軍が機密情報を紙媒体でしか授受しなかったのはテンペスト対策が不十分だったため。
- 新庁舎(市ヶ谷)では設計段階から電磁波対策を実施。
- 一般家庭のパソコンやスマホを狙った盗聴事件は公的には確認されていないが、都市伝説として語られることがある。
関連技術・概念[編集]
- サイドチャネル攻撃 - CPUの動作音や消費電力など他の副次的情報から暗号などを解析する技術。
- 電磁波シールド - 漏洩電磁波の放射防止を目的とした構造物・素材・技術。
- 情報セキュリティ - テンペストは物理面のセキュリティ上重要課題の一つとされる。weblio
用語の由来[編集]
テンペスト(Tempest)は元々「大嵐」「暴風雨」を意味し、情報を荒波のように盗聴することの比喩とも言われる。 また、「TEMPEST」は“Transient Electromagnetic Pulse Emanation Standard”(一説)という英語の頭文字を取ったものであるとされるが、NSAのコードネームとの説もある。
都市伝説としてのテンペスト[編集]
多くの都市伝説や噂は、テンペスト技術が個人レベルの機器やスマホにまで応用されているという内容を含む。 実際にどこまで可能かは不明だが、高度な諜報活動の一環として語られる。 近年の情報社会の混迷と相まって、サイバーセキュリティ問題と絡めて不安を煽るテーマとなっている。